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任天堂での成功
ブルー・オーシャン戦略は、フランスの名門ビジネススクールの欧州経営大学院(INSEAD)教授であるW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより、2004年10月の『ハーバード・ビジネス・レビュー』で発表され、翌2005年の著書『ブルー・オーシャン戦略』で提唱された戦略のことです。
日本でも、『ブルー・オーシャン戦略―競争のない世界を創造する』(ランダムハウス講談社)が出版され、任天堂での成功例をはじめ多くの企業で取り入れられています。
今日では、国や地域間の貿易障壁が崩れ、製品や価格についても即座に手に入れることができます。ニッチ市場や、独占天国(市場)も消え続け、少なくとも発展してしまった市場では需要が伸びているという事実はほとんどありません。
その結果、多くの業界で供給が需要を上回っています。そのため、製品やサービスのコモディティ(品質等が標準化し商品間の違いがなくなる)化、価格競争、利益率の縮小が加速しています。
また、企業が生き残るために既存の商品やサービスを改良することで、高コストの激しい「血みどろ」の争いを繰り広げる戦いを強いられています。
この既存の市場を「レッド・オーシャン」と呼び、競争者のいない新たな市場でまだ生まれていない、無限に広がる可能性を秘めた未知の市場空間を「ブルー・オーシャン」と名づけています。
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競合のない新たな市場
「競争」とは無縁のブルー・オーシャンという新しい価値市場を創造し、ユーザーに高付加価値を低コストで提供することで、利潤の最大化を実現するというのが、この戦略の狙いです。
問題はどのようにそれを作り出していくかなのです。このためには、着目点を供給から需要へと、競合他社との競争から、新しい需要を見つけ出すための価値の創造(バリュー・イノベーション)へと移行する必要があります。
これは差別化と低コスト化を同時に行うことによって達成することが可能です。
ブルー・オーシャンをいかに創造すべきかという点については、残念ながら、実用的な手引きはほとんどありませんが、参考となる身近な例を紹介しましょう。
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QBハウスの例
10分1,000円のヘアカット専門店のQBハウスは、利用客の視点から自分達の理容室のサービス内容を見直しました。考えてみれば、シャンプーや髭剃りは床屋本来の機能とは何の関係もありません。
そこで洗髪や肩もみなどのサービスをやめることなど手間を省くことによって、通常1時間程度かかるカット時間を10分間に短縮し、時間のストレスを感じていると顧客層を新たな顧客層として差別化し、コスト削減を加え、ブルー・オーシャンを創造しました。
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