トップページ 会社概要 経営理念 業務内容 所員紹介 アクセスマップ セミナーご案内
月刊 花みずき

〈中小企業の生産性を高めるには 〜足腰の強い中小企業の構築に向けて〜〉
 
〈社有不動産の売却〉

〈社員教育〉

月刊 経営一番

安蒜会計通信~経営一番U~VOL.017








業績31の原理

 

  中小企業の生産性を高めるには 〜足腰の強い中小企業の構築に向けて〜 


 政府の成長戦略会議(以下、会議)は昨年12月、政府の骨太方針に基づき、「新たな日常」の早期実現に向けた施策項目について、ポストコロナ時代を見据えた中間とりまとめ「実行計画」を公表しました。
 そのテーマの一つに、中小企業政策(改革)が盛り込まれています。
 会議では、足腰の強い中小企業の構築のための議論の場で、メンバーである元金融アナリストのデービット・アトキンソン氏が、中小企業の再編促進などにより、現在の中小企業の生産性を上げる必要があるとの意見を行ったのに対して、中小企業の淘汰につながることを懸念した日本商工会議所(以下、日商)の三村明夫会頭の意見が出されるなどにより、会議が注目されました。
 今回は、会議における両者の主張を中小企業の生産性に的を絞って見ていきます。

1.アトキンソン氏の主張
 アトキンソン氏の主張は、日本経済の生産性が低いのは、中小企業の生産性の低迷が長期にわたることから企業規模の拡大が必要というもので、それにより日本の生産性は改善して、日本は豊かになれるとしています。
その理由として、
 ・そもそも国によって生産性が異なる最大の原因は、それぞれの国でどの規模の企業に労働者を分配しているかの違いによる
 ・あるデータによると、日本企業の平均規模はアメリカの45.3%にすぎず、日本の生産性が低い原因は小さい企業が多い
 ・経営者の質が生産性を左右している。そこで中小企業の整理淘汰をすると社長になるための競争が激化し、より高い能力の経営者が生き残り、能力の高い経営者のいる企業に減りゆく労働者を集約できる
をあげています。
 簡単に言えば、「規模の経済が働くならば、生産性を高めることができる」というものです。そして、アトキンソン氏は、日本の中小企業経営者は「経験と勘と努力」で経営しており、これが規模の大きな企業になれない原因とも分析しています。

2.三村日商会頭の主張
 一方、アトキンソン氏の「日本企業の生産性また労働生産性が低いのは企業規模が小さいから」の主張に対して、三村日商会頭は、規模の問題ではないと反論しています。
 三村会頭は、企業の付加価値を基にして、付加価値の要因の一つである労働生産性は高いのか、低いのかを論じていますので、まず付加価値と労働生産性とは何かについて説明します。
 通常、企業の労働生産性が高いのか、低いのかを捉えるには、下の算式で計算します。

企業の労働生産性算式

 そして、労働生産性を改善しようとすれば、付加価値を増やすか、労働者数を削減することになります。別の言い方では、付加価値を増やすには売上を増やすか、コストを下げるということです。
 ここで捕足を入れることにします(ご存じの方は、飛ばしていただいて結構です)。

<補足>生産性を付加価値で捉えることの意味は、生産品数の多い企業は物的労働生産性等では把握するのが困難であることから、貨幣表現である付加価値を用いています。簡便化のために採用している基準と大まかに理解してください。
 したがって、貨幣表現である付加価値労働生産性を用いての説明ということです。

 さて、本論の三村会頭の説明をみてみましょう。
@中小企業の生産性は長らく横ばい傾向で、近年、大企業との格差は徐々に拡大傾向にある
A中小企業の実質労働生産性の伸び率は、総じて年率3〜5%程度で大企業と遜色のない水準。しかし、1995〜99年度以降、価格転嫁力指標の伸び率が一貫してマイナスのため、中小企業の生産性の見た目の伸び率は1%程度に低迷
 1975年から1979年度における一人当たりの名目付加価値額は5.4%でした(折れ線グラフ上)。仮に概数として価格転嫁力を▲1.3%、実質労働生産性は6.7%としますと、5.4%(6.7%−1.3%)ということになります。
 三村会頭の中小企業擁護論はAに如実に表れています。
 1995年から1999年度以降の中小企業の売上高低迷の原因は、大企業がデフレや新興国企業の勃興による国際競争力の低下などにより需要(=売上高)減少に直面した際、付加価値向上により真の生産性改善ではなく、人件費削減(雇用削減)や下請け企業による納入価格の切り下げなどによって生産コストを引き下げ、少ない売り上げでも利益を出す仕組みを構築したことではないか、とみていることです。さらに言いますと、中小企業の生産性を高めるために個々が努力することは当然ですが、自社の経営努力だけでは解決できない取引環境、競争環境の問題があるという指摘です。
 中小企業庁は近年、特に取引適正化を重視していますが、ポストコロナでの中小企業重視の政策こそが求められているのではないのでしょうか。

 

  ♦社有不動産の売却 

 先般、大手広告業・D社や大手旅行業・J社の本社ビル(社有ビル)の売却がマスコミに大きく報じられ、この不動産売却は、時代の背景を投影していると、注目されました。
 社有不動産の売却は「前向きの売却」と「後ろ向きの売却」とで意味合いが違ってきます。
 前向きの売却には、例えば、「今後の在宅ワークの増加傾向を見越して新事務所に移転するための充当資金」とか、「事業所の統廃合を行い、売却によるキャッシュフローを高める」等があります。
 これに対し、「資金繰りが厳しくなったために換金を目的に売却」や「赤字決算で不動産の含み益が必要になっての売却」などは、後ろ向きの処分です。
 取引先の社有不動産の売却については、「いつ、どこに、いくらで、そして売却の目的は何か」等の情報を集め、自社の今後の経営に備えておきたいものです。

 

  ♦社員教育 

 コロナ禍での会社存続には、社員の協力が不可欠です。そして、いざというこの時期こそ、社員への「人の教育」ができているか否かが試されています。
 飲食業・K社(従業員15名、アルバイト38名)のA社長は、こう言います。
 「企業には、3つのタイプの人がいます。すなわち、自然人(自分で燃える人)、可燃人(火をつけると燃える人)、不燃人(なかなか燃えない人)です。大手企業は、その比率が「2:6:2」で、うちは「0:2:8」でした。現状の8割の不燃人をどうにかして可燃人、自然人にするしかなかったのです」
 そもそも、自分自身に問題があると思っていない一人一人に、社長も学びながら対応(気づかせ)をしてきたそうです。
 K社では、一人の退職者も出していません。

               

Copyright (C) 2003 安蒜俊雄事務所 All Right Reserved.