トップページ 会社概要 経営理念 業務内容 所員紹介 アクセスマップ セミナーご案内
月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.164  2008年10月

打つ手なしのGMに「破綻」の足音

 「デトロイト―そこは弱者が殺され食われる街」。米ビッグスリー街、デトロイト土産のTシャツ文句だ。このロゴは、かつてゼネラル・モータース(GM)やフォード・モータースが産業界のトップに君臨していたころの置き土産だ。ビッグスリーに勤めることは家族の誇りだったのに、今日、誰が負け犬になったかは明らかだ。「デトロイトでもっとも経営破綻に近いのは、クライスラーの次にGM」(ウォールストリート・ジャーナル)と、その消滅すら視野に入ってきている。

■20兆円の巨額負債 広がる信用不安

 8月1日に発表されたGMの4‐6月期決算は、約155億ドル(約1兆7000億円)という巨額の当期赤字を計上、四半期ベースでは過去3番目に大きな赤字額で、4四半期連続の赤字だ。自動車業界の売上高は、前年同期比18%減の377億ドル(約4兆1357億円)で、1株当たり利益(EPS)は27.33ドルの赤字。市場の事前予想の売上高446億ドル、EPS2.6ドルの赤字よりはるかに悪い。

GMは、07年7−9月期決算で四半期としては過去最大の当期赤字389億ドルを計上し、膿を出そうとしたが、その後の1年間、赤字から抜け出せなかった。そればかりか、財務体質は悪化の一途を辿り、負債額は約1900億ドル(約20兆8430億円)にも上り、負債超過額は570億ドル(約6兆2529億円)に膨らんだ。すでに資金繰りの問題が指摘され、売掛金の回収問題など信用不安が起き始めている。

GMが衰退への坂を転がり落ち、事業売却とリストラで延命していたことは誰もが知っているが、そこに原油の高止まりと住宅市場の落ち込みが追い討ちをかけて、一気に転落のスピードが速まった。連邦破産法の適用申請についても噂されるほどだ。

GMの存続に対する懸念は、株価に顕著だ。8月7日現在でGM株は10ドルを割り込み、9.75ドル。ダウ工業株30種平均のなかで、株価が1桁なのはGMのみだ。これは1920年、JPモルガン商会とデュポンが、GM創業者デュラントの持ち株を取り上げて買取り、GMを救済したときの危機的な株価12ドルをも下回っている。ダウ平均の銘柄入れ替えで、米国を代表する企業グループからはじき出されるのも時間の問題だ。

 
■経営陣の責任者 負の連鎖は温存されたまま

この絶体絶命のときに、GMは何か抜本的な改革をしているのか。答えはノーだ。8月5日、四半期決算を受けて開かれたGMの社外取締役会は、全員一致でリチャード・ワゴナー最高経営責任者(CEO)兼会長の支持を確認した。92年、年間で44億ドル(約4827億円)の赤字を計上したロバート・ステンペルCEOは更迭されたが、たった3ヶ月で約155億ドルの赤字を出したワゴナー氏の去就については、お沙汰なしだった。

30年以上、自動車業界のアナリストとして鋭い提言をしてきたマリアン・ケラーさんは90年代以降、常にGMの官僚主義的な文化や消費者に学ばない独善的なマーケット分析を批判し続けてきた。その企業文化の申し子であるワゴナー氏が留任するダメージは計り知れない。
マザー市場である北米での販売不振の本質は、ガソリン高だけではない。新モデルの投入が極めて遅いのだ。開発期間も長く、消費者の需要が変わったころに以前の需要観測に基づいて開発したモデルを投入する。GM車は日本車に比べて燃費が悪いだけでなく、非常に鮮度が悪い。

こうしたマーケティングや新商品戦略の硬直化は、手を打たなかった経営陣の責任だが、それは放置されたまま、リストラだけが進んだ。リストラも将来につながる抜本的なものではなく、発表のタイミングは殆ど毎回、株価が急落している局面だ。一時的に株価は浮揚するが、構造的な負の連鎖は温存されたままだ。

次々に打ち出される延命薬で注目されるのが、84年に始まったトヨタとの合併事業「NUMMI」(カリフォルニア州)の売却だ。ベースであるGMの旧フリーモント工場は、かつて無断欠勤率が1日20%を超え、駐車場にはビール瓶が転がっていたとされる。そこに、チームワークと現場の自主性、品質管理などトヨタ式ビジネスモデルを持ち込み、体質改善したプロジェクトだった。

 
■トヨタ工場買い取り要望か 米政府からも見放されそうな雲行き

GMはNUMMIで学び、「幹部候補生」が配属された。最新工場のひとつであるブラジル工場の運営にもそのノウハウは活かされたが、現在は幹部候補生が配属されることもなく、GMの中では完全に傍流の工場になってしまった。GMがトヨタによる買取りを切望しているのは間違いないが、トヨタも原油高と米経済後退のあおりで苦戦を余儀なくされており、難しい相談だ。

では、米政府は救済するのか。これも難しいだろう。7月中旬、米政府は米連邦住宅抵当会社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当会社(フレディマック)の経営支援を決めた。これには批判もあったが、米住宅公社が破綻した場合、世界経済に対する悪影響は計り知れず、救済を決断したのである。

自動車メーカーの場合、79年に経営危機のクライスラーを救済した例もある。自動車産業が集積する米国西部の労働者層の政治に対する影響は強く、大問題になるのは間違いない。しかし、米政府が世界規模の影響を慮って救済した住宅公社に比べ、労働人口や国内総生産(GDP)における自動車産業の割合は1%強。客観的にみて、全面救済にはかなりの批判が起こるだろう。

そこで、フォードと提携する動きが出ており、米紙デトロイト・ニューズ(電子版)は8月4日、「エンジン開発で両社が提携を進めている」と報じた。しかし、こうした技術提携程度では焼け石に水といった指摘もある。思いきった両社の経営統合や外資の受け入れなど、GMが小手先だけの改革ではなく、大胆に舵を切る動きがない限り、「緩慢な死」への道が待っている。

    
(ニュース出所 FACTA 9月号)

      
       次へ

Copyright (C) 2003 安蒜俊雄事務所 All Right Reserved.