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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.173  2009年7月

〜 仕事がうまくいかない理由はお客様が知っている 〜

 東京観光に欠かせなくて、全国的に有名な鰍ヘとバス。しかし、同社は90年代後半に倒産危機を迎え、危機を回避したものの低空飛行を続けていた。そんな中、2005年秋に代表取締役社長に就任、業績を大きく回復させたのが松尾均氏。「デジタルに頼らず、アナログに生きろ」と説く松尾流仕事術とは?

◆一般の企業の厳しさに欠けていた

―社長に就任されたとき、会社はどんな状況でしたか。
 松尾 少なからず知っていたつもりでしたが、ここまで経営基盤が脆弱だったとは。バブル最盛期に94万人いたお客様が50万台にまで落ち込み、はとバス事業単体の粗利がわずか2,000万円しかなかった。これまではとても健全経営とはいえませんし、それどころか、一歩間違えば会社は潰れてしまう。正に逆境でしたね。
だから、就任挨拶で社員に向かってこういったんです。「はとバス」という名前は、日本全国に知られている。それは喜びでもあり、誇りでもある。でもそれで満足していていいのか?「はとバス」という名前にあぐらをかいているのではないか?今のままでは商売が成り立たないと、少々荒っぽく訴えたんです。

―どんな点がいけなかったのでしょうか。

 松尾 例えば、パンフレットがいい例です。「お客様にサービスを売る」という意識が足りないので、時刻表に毛が生えたようなレベル。これではお客様に「はとバスに乗りたい」と思ってもらえはしないと感じました。はとバスは、戦後に東京都が経営に関わることを条件に認可された会社なので、現在も40%近い株を都が保有。いわば半官半民の企業です。そのせいか、一般企業の厳しさに欠けている部分があった。


◆大事なのはフェイス・トゥ・フェイス

 松尾 でも、今さらパンフレットに力を入れても…と思われるかもしれません。経費削減の意味でもネットに集約するという考え方もありました。実際、ネットの充実も同時に行い、現在は利用率も高まっています。でも、私はあくまでパンフレットにこだわりたかった。

―それはなぜでしょう?
 松尾 ネットは便利ですが、それだけに頼ればお客様の顔が見えづらくなってしまう。パンフレットという形あるものをお客様に手渡すことで、より私たちの「想い」が伝えられる。できる限り「フェイス・トゥ・フェイス」を大事にすることが、サービスの原点ではないかと。
例えば、私を含めた役員は、できる限り現場にいき、お客様にご挨拶しています。繁忙期には部門に関係なく社員総出で、交通整理などに当たります。そうしてお客様と直接接することで、いろんな発見ができると思うのです。
そして、社員同士にもフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが必要です。バスツアーは、「商品開発」「営業」「サービス」「車両整備」が協力することで成り立っています。いくら私が改善を訴えても、4部門すべての社員が共有していなければ、最終的にお客様には伝わりません。ですから私は、率先して社員の中に入っていくよう心がけています。向こうからみればうるさいオヤジかもしれませんが(笑)。


◆たかがアンケート されどアンケート

―はとバスでは月に1回、「はがきチェック会議」を開いているそうですね。
 松尾 パンフレットが私たちからお客様へのラブレターだとしたら、お客様から返ってきたアンケートハガキは、その返信。月に4〜500枚は頂くでしょうか。大事な恋文の返事ですから、私以下、担当役員で、1枚1枚、目を通します。そして、重要と思われるご意見やご要望に対して検討し、リアクションをとるわけです。弊社は「旅行」「サービス」という2つのテーマだけ設け、あとはお客様に自由に記述して頂く形にしています。よくあるアンケートハガキとは、ちょっと雰囲気が違いますね。チェック式アンケートでは、お客様の満足度を数字に置き換えて集計しますが、その数字にはあまり意味がない。むしろ、情報をデジタル処理することで、1人ひとりのお客様の顔が見えなくなる危険性の方が高い。ハガキで重要なのは、そこに書かれているお客様の生の声で、それが私たちを勇気づけてくれたり、新たな改善の手がかりになったりするのです。

例えば「ガイドさんから『おばあちゃん、大丈夫?』と声をかけてもらって、とても嬉しかった。今度は孫と一緒に利用したい」というハガキを頂いたことがありました。当たり前の感想のようですが、こうしたガイドのひと言はマニュアルからは育ちません。これこそが私たちが提供すべき商品の原点だと再確認しました。こうしたアナログなものを大切にする姿勢が、サービスの分野ではとくに重要だと思います。
お客様相手のビジネスは、1か0かでは判断できません。○×でもない、△もありの世界。同じサービスでも時と場合によっては評価も違ってきます。デジタル的な“いつも正しい答え”はあり得ない。その場に応じた適切な答えを常に模索していくしかないのだと思います。

―数値化できないアナログ的な部分こそ価値がある、というわけですね。
 松尾 はい。数字に囚われて効率ばかり優先させると、大事なところにも気づかなくなってしまいます。現在は「100年に1度の不況」。こうしたら不景気を乗り越えられる、という都合のいい答えはあり得ません。できるだけ自分の目で確かめて、できることから1つひとつ愚直に汗をかいていく。そうした小さなことの積み重ねができれば、結果として逆境に克服することができるのではないかと思います。
   (ニュース出所 THE21(6月号))


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