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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.179  2010年1月

〜「不動産ローン破綻」が呼ぶ二番底 〜

 パシフィックセンチュリーの次は軍艦ビルが危ない。歯止めのきかないデフォルト連鎖の恐怖。ファンドバブルの清算はこれからが本番だ。
 9月28日、ダヴィンチ・ホールディングスは傘下のSPC(特別目的会社)が保有するオフィスビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」(略称PCP、千代田区)を担保にしたノンリコースローン(非遡及型融資)で、デフォルト(債務不履行)が確定したことを発表した。JR東京駅前という超一等地にあり、3年前の購入時の価格が2,000億円という巨額物件。インパクトは大きく、市場の二番底を予感させる事態に不動産や金融分野の関係者は浮き足立っている。

◆CMBSの2010年問題
 PCPを保有するSPC(名称は「ボンダイ」)形態の私募ファンドのエクイティ(出資)部分は推定200億〜250億円。これを2,000億円から差し引いた残額1,750億〜1,800億円をローンで調達し、新生銀行を主力に米メリルリンチなど6つの金融機関から融資を受けたという。ローンの内訳は、返済優先順位の高いシニアローンが約1,100億円、残りがメザニンローンとされる。
 今回のデフォルトで、PCPの所有権はローンの担保権者である金融機関に移り、物件売却で融資を回収することになるが、昨今のファンドバブル崩壊で不動産相場は暴落。PCPの処分セールには財閥系不動産会社や国内大手生保、さらには3年前にダヴィンチに同ビルを売り渡した香港のパシフィック・センチュリー・グループなどが興味を示しているといわれるが、「買収価格は900億円から1000億円弱という半値以下の攻防」(業界関係者)。この状況では、物件を売却できてもシニアローンさえ未回収になる。

 さらに厄介なことに、PCPのシニアローンの大半はCMBS(商業用不動産ローン担保証券)などの形で証券化され、投資化に売却されているという。これまで「ローンがデフォルトになっても、物件売却でシニア部分は全額回収できるからCMBSに問題は及ばない」と、アレンジ元である証券会社や投資銀行は安全性を強調してきた。
 それを煽るように、格付け会社はノンリコースローンを裏付けにしたCMBSに高格付けを供与。1999年には年間1,500億円程度だったCMBS市場は、ファンドパズルの波に乗って瞬く間に膨張し、ピークの2007年には新規発行額が2兆5,000億円に達した。米サブプライムローン危機が深刻化した08年以降は外資が一斉に引き揚げ、新規発行は激減したが、それでも既存のCMBSの残高は現在でも4兆円近くあるとみられている。

 今後、これらのCMBSの満期償還が次々に到来、来年はざっと2兆円の償還が必要になる見通し。多くの不動産アナリノストや金融関係者がデフォルト続発を予測しており、「CMBSの2010年問題」と呼んで警鐘を鳴らしている。
 実は、すでにCMBSの裏付けローンのデフォルトはじわじわと広がっている。第1号は昨年6月、モルガン・スタンレー証券の組成によるCMBS「JLOC38」(07年9月発行、発行総額829億円)の裏付けローンの一つ(発行額48億5,000万円)が返済不能となった。ただ、当時の関係者の説明では、CMBSに組み込まれていたのはシニアローンの部分であるため、物件売却などによって回収可能で毀損の可能性は低いとされた。
 だが、その第1号のデフォルトから1年4ヶ月。市況は悪化の一途を辿り、今回のPCPでは、担保不動産を処分してもシニアローンの部分に毀損が及ぶ可能性が出てきた。CMBSの裏付けローンのデフォルトは、08年に満期を迎えたもので総額400億円弱に達し、09年にはそれが3,000億円に急増するとの観測もある。「CMBS満期償還が集中する10年には兆円規模のデフォルトが発生してもおかしくない」との予測もある。

 不動産市場は買い手不在の状況が続いている。大手金融機関はBIS(国際決済銀行)の自己資本規制強化をにらみ、リスクの高い不動産融資には腰が引けている。亀井静香郵政・金融担当相の提唱する借入金モラトリアム(返済猶予制度)法制化が住宅ローン等の貸し渋りを助長し、不動産市場を一段と冷え込ませるとの指摘もある。
 資金の出し手がいないからSPCの資金繰りが行き詰ってローンがデフォルトになり、買い手がいないから担保不動産が投げ売りされ、そしてCMBSに損失が及ぶ。ファンドパズルに踊らされた国内の不動産ビジネスは今、こうした負のスパイラルに陥っている。「SPC」「ノンリコースローン」「CMBS」―。この3つの「小道具」を業容拡大のバネに利用してきた企業の先行きには暗雲が垂れ込めている。新興不動産だけでなく、オリックスや森ビルなどバブル期の束の間の「勝ち組」企業もそこに含まれる。



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