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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

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・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.184  2010年6月

〜 ヤマザキパンの成長を支えたP・ドラッカーの経営理論 〜

 ピーター・ドラッカー財団の評議員を務め、クレモント大学大学院にあるドラッカースクールのボードにも入っている、飯島延浩山崎製パン社長。ドラッカーの理論を企業経営に取り入れ、成長してきた。

■キリスト教とドラッカー

 ピーター・ドラッカーとの縁は、父に始まる。山崎製パンの創業者である父・飯島藤十郎社主は、昭和30年代に欧米に視察旅行に行き、日本の製パン業界の遅れにショックを受けて帰国。追いつくには欧米の最新鋭の機械を入れるしかないと、導入に踏み切ります。それだけではなく、欧米流の経営思想も取り入れる必要があると考え、初来日したドラッカー博士のセミナーに出席。以来、この経営理論を実践するようになりました。

 山崎製パンの経営を語るうえで、もう1つ欠かせないのはキリスト教信仰です。昭和40年代に入り、事業は順調に拡大していきましたが、その頃から社主の体調がおもわしくなく、経営を弟に委ねることになったのです。その後、体調は回復しましたが、社業の復帰を嫌う弟との間で意見が対立、深刻化していきました。

 当時、私は常務として解決しようとしましたがうまくいかない。しかも両親である社主夫妻と私の間でも考えが一致しないのです。その時期に、親子3人で教会に通うようになり、教えに希望を見出していったのです。1973年7月15日、3人は洗礼を受けました。神の力で、社主夫妻と私の心を一致させたいと考えたためです。

 ところが、受洗して11日後、主力工場の武蔵野工場が全焼。この時、私たちは「火災は、あまりにも事業本位で仕事を進めてきたことに対する神の戒め。これからは神の御心にかなう会社に生まれ変わります」と祈りを捧げました。  
 ここからキリスト教の教えに基づく経営が始まったのですが、実はキリスト教の教えとドラッカーの経営理論は、極めてよく似ていることがわかってきました。

 さて、取引先などの協力もあり、武蔵野工場は火災から4ヶ月後には再稼動。しかも最新鋭の機械を入れたため、生産効率は飛躍的に拡大、翌年から収益を上げるようになりました。これも神の力によるものです。一方、社主と弟との内紛は続いていましたが、79年3月に社主の意を受け私が社長に就任することで終結しました。

■ドラッカー財団のメンバーに

 平成に入り、山崎製パンは本格的な米国進出を果たします。米国で仕事をするには米国社会を知らなくてはならないので、私は米国の敬虔なクリスチャンで社会的リーダーに会いました。その中にボブ・ビュフォード氏がいて、意気投合。彼はドラッカーの愛弟子で、その経営理論を実践することで事業を拡大してきたのです。

 この時、私は誘われてドラッカー財団のアドバイザーリーボードに入りました。メンバーになれば、毎年開催される財団のカンファレンスに出席でき、ドラッカー博士に直接お会いできるわけですから、このうえない栄誉です。博士には、山崎製パンがドラッカーの経営理論を実践した結果、成長を果たしたこと、その一方で数々の試練に出会ったことなど率直に話しました。博士は、私の質問にいつも真摯にアドバイスをくれたし、それによって、経営理論をより深く理解することができたように思います。

 今でも強く覚えているのが、最初にお目にかかった時のこと。私はストレートに、なぜ博士の経営理論を実践しているのに、社主と弟の間で内紛が起きてしまったのかと聞いたのです。それに対する博士の答えは「自分の経営理論を実践するには、その組織の置かれた状況に合わせて実践することが大事だ」というものでした。

 博士は記者として経営者の取材を通して、企業で何が行われていうのか、成功する企業の共通項は何かということを書いて評価され、その後、GMの社史などを書いたり、コンサルティングを務めるようになったのですから、自分で会社を経営したことは一度もない。そのことをわかっているからこそ、経営理論を実践するには現場に即する必要があると言ったのでしょう。

 ただ、博士は大学の学長を10年間務め、その間に学生数を2倍にしたのだから、ビジネスの才覚もありますが、本人がもっと誇りにしていたのが、誰とも対立しなかったことです。秘訣は、物事を進めるのに力づくでやらないということ。相手を理解し忍耐力を持つ。そうすることで対立を避けることができるというのです。

■「私の使命」「彼の使命」

私がドラッカーの経営理論の中で一番重要だと考えているのが「5つの質問」です。

 @私のミッションは何か
 A私の顧客は誰か
 B私の顧客にとっての価値は何か
 C私にとっての成果とは何か
 D私の計画とは何か 

 事業を行うには、この質問にきちんと答えることができなくてはなりません。中でも特に最初の3つを重視しており、毎日自分に問います。すると、自らのミッション=使命が明らかになり、顧客本位の考え方も自然に身につきます。
 しかしそれだけでは足りません。事業が大きくなり、参加する人が増えてくれば当然、意見の異なる人も出てきます。あるいはそれぞれの属するポジションによって考え方の違いが出てきます。そのようなときにはどうするか。

 こう問うのです。「(意見の異なる)彼のミッションは何か」「彼の顧客は誰か」「彼の顧客にとっての価値とは何か」と。自らのミッションを神から与えられた聖なるものと思っているならば、毎日自分に問うていることを相手の立場に立って考えることなど簡単なはず。そう考えることによって、相手の立場や考えがわかってくる。お互いのことが理解できれば、同じ基盤に立って仕事を進めることができ、また、協力し合うことができるのです。実際に当社では、この質問を経営の中に取り入れて大きな成果を上げています。お互いがお互いのことを理解しようと務めることで、会社全体が1つの方向を向くことができるようになったのです。

 デフレや消費不況とよく言われます。その中にあって山崎製パンの業績が伸びているのは、その証のように思います。

    (ニュース出所 月刊BOSS 6月号)


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