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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

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・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.185  2010年7月

〜 従業員の不満解消から生まれた「アメーバ経営」〜

  稲盛和夫は京セラを創業して間もなく、待遇改善を求める従業員らの労慟争議を経験した。そこから編み出された「アメーバ経営」は、経営に疎いエンジニアならではの手法だったのだ。

■アメーバ経営とは“全員参加経営”

  京セラを創業し、第二電電(DDI、現KDDI)を立ち上げ、現在は日本航空(JAL)の経営再建に取り組む稲盛和夫氏の経営の原点は、自ら創り出した「アメーバ経営」という手法にある。稲盛氏は今年2月、JALの会長就任にあたってこう語っている。「経営者は、いわゆるP/L(損益計算書)がはっきりしていないといけない。P/Lは毎日、毎週、毎月の収益が上がっていくのが見られるのが、絶対条件だろう。アメーバ経営は、どんな小さな組織でも『P/Lセンター』として機能するような小集団に分けて、それぞれの採算を見ていく経営手法だ。京セラはもちろん、KDDIでもアメーバ経営を導入し、週単位で収益が見られる。JALにも通用すると思うが、急に導入してもうまくいかないので、まずはP/Lの考え方をしっかりと定着させていくことが先決だ」

 一握りの経営陣だけが経営全権を担うのでなく「会社組織をアメーバのような小集団に分け、リーダに経営を任せることで、経営者意識を持つリーダを多数育成すること」がアメーバ経営の狙いだ。その結果、「各アメーバのリーダが中心となって計画を立て、目標を達成していく。そうすることで、現場の社員1人ひとりが主役となり、自主的に経営に参加する“全員参加経営”を実現する」ことができる訳だ。

 官僚的な経営に浸かり、肥大化したJALグループの組織改革には、このアメーバ経営が効果をもたらすと期待されている。しかし、そもそもアメーバ経営の原点はどこにあるのか。日本を代表する成功経営者といわれる稲盛氏の経営原点は、意外なことにアメーバ経営の誕生秘話と大きなかかわりを持っている。

■経営に不慣れなエンジニアが起業

  稲盛氏が敬愛する松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助翁は、世の中に水と同じように松下製品があまねく使われるようにと「水道哲学」の経営手法を経営の礎とした。若き稲盛氏は、この「経営の神様」を手本に自ら独自の経営理念や手法を編み出そうと苦心したが、その道のりは平坦ではなかった。それは、稲盛氏がもともと経営者を志して起業したのではなかったからだ。自ら没頭して研究を重ねた独自の「ファインセラミック技術」を世に送り出すために、経営に不慣れなエンジニアが、同僚や先輩たちを慕って起業したのが、当時の「京都セラミック」の出発点だったのだ。

 鹿児島で生まれた稲盛氏は、中学受験の失敗、結核による長期静養、大学受験の失敗等、挫折の連続。ようやく就職できたのは京都の松風工業だったが、会社は給与の遅配や労働争議が勃発。入社したての稲盛氏は、研究開発に没頭してセラミック真空管の開発に成功したが、会社側と対立して退職。同僚や仲間らとともに「京セラ」を立ち上げたのである。

 当時の稲盛氏は、経営のことはさっぱりわからず、新会社の社長は取引 先の宮木電機製作所の宮木男也を迎え、自らは取締役技術部長に就いた。創業資金1,000万円は宮木電機の西枝一江専務が自宅を担保に銀行から借り入れている。全ては、天才エンジニア・稲盛和夫という人間の夢を実現させるために、一致団結した人々の熱意によるものだ。そして、この経営に不慣れな天才エンジニアが立ち上げた企業だったからこそ、全員参加経営のアメーバ経営が誕生したといえる。「京セラもDDIも、スタート時の条件は恵まれたものではなかった。ただ逆に、経済的条件や物理的条件が大変不利だったことが、経営の理念というか、心の在り方を非常に大切にすることになった」(稲盛氏)

 とりわけ稲盛氏が大きな経営の壁にぶち当たったのが、創業間もないころの労働争議だ。研究開発に没頭するあまり、社員の日常の経営環境が悪化、不平不満が高まっていたのである。稲盛氏は「京セラは私の技術を世に問う目的でつくっていただいたが、そんな経営者個人の目的のためには社員は一生懸命働いてくれないことがわかったので(笑)、経営理念を掲げた」。

■のしかかる「責任と重圧」

 経営に不慣れな稲盛氏が試行錯誤の末、創業2年目に掲げた経営理念が「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」。この理念を打ち出したことで、社員の反乱は沈静化。そして「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という目標を達成するために、「全従業員参加型の経営手法」であるアメーバ経営が考え出されたのである。

 つまり、経営にあまり通じていない稲盛氏だったからこそ、小さな組織ごとに独創的で緻密な部門別採算管理が行える権限を与え、それぞれの組織の経営内容が誰にでもわかるよう透明性を追求した「みんなでやろうぜ経営」を考え出すことができたといえる。

 かつて本田技研工業には技術担当の本田宗一郎氏、経営担当の藤沢武夫氏、ソニーには技術担当の井深大氏、経営担当の盛田昭夫氏という、創業経営者の名コンビが見事な役割分担を果たし大企業としての礎を築き上げた。京セラの場合、技術出身の稲盛氏の経営パートナーとなったのは、他でもない、全社員だったのである。

 このアメーバ経営は、300社以上の企業が取り入れ業績を飛躍的に伸ばしているが、一般企業に比べて社員の権限と責任が増えるため、馴染めずに、自ら脱落していく社員も少なくない。しかし、稲盛氏はアメーバ経営を導入する代わりに、経営が苦しい時でも人員整理等のリストラに一切手を染めたことがない。やる気のある社員に徹底した「全従業員参加型の経営手法」を課す代わりに、利益を社内全体に公平に分配することを目指しているからだ。アメーバ経営の原点にあるものは、経営に不慣れだった若き日の稲盛氏が、社内をまとめるために考え出した独特の経営手法ということができる。

   (ニュース出所 リベラルタイム 6月号)


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