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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.186  2010年8月

〜 京大総長が警告する「地球100億人定員」説の恐怖 〜

 現在、地球をめぐる多くの課題の中でも、最も重要なテーマが世界規模での爆発的な人口増加だ。18世紀には世界の人口は8〜9億人にすぎなかったが、今や1年に1億人のペースで増加し、2009年度は68億人に達し、今なお増加を続けている。しかし現実には、有限である地球上でこのまま無限に人口が増えられるはずはなく、我々は今なすべきことについて考える必要がある。

■地球の人口は100億人が限界だ

 地球の人口を食糧科学者たちに尋ねてみると、土地の扶養能力やたんぱく質の総量から分析して、100億人程度が限界だと答える人が多い。食糧の他にも人口を抑制する要因はある。最大の要因は資源だ。石油や金属などすでに埋蔵量が明らかになっている資源はいつの日か尽きる。日本ではあまり意識されないが、水も重要な資源の1つで、淡水を安定供給できるかも人口抑制の大きな要因である。さらには温暖化もある。

 これらの要因をもとに「世界人口会議」などでの議論を見ると、2050年に人口が90億人に達するという見解はほぼ一致している。急激な上昇カーブは、2070年頃に100億人程度でピークを迎えると予想する人が多い。私もこの100億人が、地球の定員ではないかと考えている。

 問題は、この定員に達するまでに何が起きるかだ。そこには2つのパターンが考えられる。日本で少子高齢化が進んでいるように「豊かさ」は人口増加に歯止めをかける大きな要因として作用する。既に先進地域では1990年以降、人口の伸びは下落を続けており、2010年からの10年間の増加率はわずか0.17と予測。限りある資源の中ですべての国に豊かさがいきわたれば人口の著しい増加は止まり、人口問題は平和裏に解決される。だが、発展途上国の現状を考えると、数十年以内に先進国と同様の経済レベルに達するとは考えにくく、この幸福なシナリオが実現する可能性はほとんどない。2010年に56億人と予想されている発展途上地域の人口は、2025年には67億人になるというのだ。

 そこで考えられる別のシナリオは、数十年のうちに世界中のあらゆる資源や食糧が不足し、奪い合いが起こって弱肉強食の社会になるパターンだ。この弱肉強食社会は決して安定することはない。ある国が他の国に資源や食糧を渡さずに潤ったとしても、いずれまた資源は尽きる。そうなれば再び他の国から奪うか、豊かな暮らしを放棄するかしかなくなる。争いは絶えず、ハッピーエンドも存在しない。

■日本人の「豊かぼけ」が危機を招く

 資源に乏しい日本は、こうした社会の中では真っ先に負け組み入るだろう。ところが、人口増加が招く危機について日本人の理解は乏しく、地球の限界など訪れないと感じている人が多く、のんびり構えている。ひとつには、少子化による人口の減少が大きな社会問題となっているため、世界的な人口増加が自分達に関わりがあると思いづらいこともあるだろう。また、世界第2位の経済大国ともてはやされ、豊かさを失うことなど想像すらできないのかも知れない。

 だが、その「豊さぼけ」が危機を拡大している側面もある。日本は海外から資源を購入し高い技術力を生かして加工し、製品を海外に売ることで成長を続けてきた。今後もそれを推進することが日本の生きる道と考えている人も多いが、現在のようなグローバル社会では、日本だけが経済的に発展するということはありえない。

 日本がすぐれた製品を輸出することによって、他の国の生活水準も上昇する。生活水準の上昇は、電気や水、食糧や資源の消費を増やす。日本が経済成長を目指せば、それは同時に世界規模での食糧や資源の枯渇をスピードアップし、地球という星の限界を近づけているのだ。

 ならば、我々は何をしなくてはならいのか。現在のところ、定員に達する前に爆発的な人口増加を抑制する手立てはない。そこでできることは、地球上で養える定員を少しでも増やすための努力である。それは、新たな科学技術を生み出すことだ。地球だけにこだわらずに宇宙開発にも目を向ければ、飛躍的に定員数が増える可能性は高い。宇宙には木星、土星、金星など数多くの惑星やその衛星群が存在し、そこに埋まっている鉱物資源の比率は地球と似ている。
だが、こうした技術を生み出すまでには十年単位、百年単位という長い時間が必要となる 。

■解決のキーワードは「緩和」

 そこで、新しい技術が生まれるまでの間、少しでも時間の余裕を稼げるような緩和(ミティゲーション)政策が必要になる。仮に人口が2倍になっても、1人が地球にかける負荷が半分になれば、負担は現在と同程度に抑えられる。つまり、定員を増やしているのと同じ効果がある。

 科学技術の発展と緩和政策は、人口問題に対処するための両輪のようなもので、どちらか一方だけでは増加する負担に耐えることはできない。

 では、具体的な緩和政策とは何か。それは、文化的なアプローチに他ならない。明治時代まで、日本には「もったいない」「みっともない」「かたじけない」という文化があった。私は頭文字をとって、これを[MMK]と呼ぶ。一人ひとりが少しずつ我慢をして全体のために生きる共生の精神は、古くから日本を支えてきた。日本古来の「MMK」の文化を、それこそ日本を発信源として世界に広めるべきではないか。

 幸い日本には、この緩和政策を後押しするだけの高い技術力が既に備わっている。しかし、科学者だけでは不十分で、社会知を伝えるような哲学者や歴史学者、社会学者の意見も必要だ。

 歴史的に育んできた貴重な考え方と、現在持っている素晴らしい技術力を組み合わせて、節制の精神と先端節約技術を他の国々に見せながら率先して人口問題解決と対峙する姿勢を示すことで、日本の未来を活力ある社会とし、世界の先進モデルとなる国とならなければならない。そしてそれは、世界の国々から魅力ある国家として、世界の将来に明るい希望をもたらす、存在感のある国を目指すものであり、それを可能とする科学技術の発展に国家は何をすべきか、よく考えるべきである。この危機は、日本にとってチャンスととらえることが重要である。

 後世から見て、あの時代の人が経済発展ばかりを追及して、まるで豊かさという笛に惑わされる“ハーメルンの笛吹”の中の鼠の大群のように、崖っぷちへ行進していったと嘲笑されないためにも、今なすべきことについて考えたい。

        (ニュース出所 文藝春秋(7月号))


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