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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.188  2010年10月

〜トヨタ式にならい料理の鮮度 向上を図るファミリーチェーン〜

 メニューをハンバーグに絞り込んだファミリーチェーン「びっくりドンキー」で知られる潟Aレフは、2010年6月現在、外食6業態・311店舗(直営131、FC180)を擁する。全国7ヵ所のセントラルキッチンにトヨタ生産方式を導入して独自の「アレフ生産方式」を確立したが、そこには約10年にわたる苦悩の日々があった。

◆顧客のおいしいのために取り入れたトヨタ式発想

 1968年、代表取締役社長の庄司昭夫氏が岩手県盛岡市に開店した「ハンバーガとサラダの店・ベル」が、アレフの出発点である。81年にハンバーグ専門のファミリーレストラン「びっくりドンキー」第1号店を札幌に出店。2010年5月、直営とFC合わせて300店舗を突破した。

 着色料や香料などの化学添加物を使わず調理。さらにご飯は東北産の省農薬米、コーヒーには高品質のアラビカ豆を使うなど、食材へのこだわりが支持を集めている。また、ほとんどの店で割り箸を廃止したほか、生ゴミのリサイクルや地中熱の活用にも力を入れ、食品リサイクル推進環境大臣賞最優秀賞など多くの表彰を受けている。
 多くの外食チェーンでは、大量仕入れで食材の価格を抑え、セントラルキッチ
ンで大量一括生産して原価低減を図っていた。1990年代半ば、外食市場が飽和を迎えるなか、庄司社長は「お店での仕込み」に近づけ、より鮮度の高い食材で差別化を図る道を模索する。つくり置きをしない、小ロット生産を実現するために考えたのは、製造業における生産管理の手法の導入だ。
製造業の視点で同社のセントラルキッチンを見直すと、問題点が山ほど見えてきた。それを1つひとつ克服して独自の「アレフ生産方式」を確立するまで10年近い年月を要した。

 「びっくりドンキー」では、全国7ヵ所のセントラルキッチンでハンバーグパティやソースやカット野菜を生産し、それを店舗に配送し、厨房で調理する。しかし、できるときに一気に生産し前の日の製品を翌日店舗に送ることも普通だった。そうしたなか、店で在庫し、料理をして出すタイミングによっては、鮮度という“品質”に差があるのが問題となった。
  「なぜ今日作った物を、今日出せないのか」
  そこに庄司社長は疑問を投げかける。欠品を起こしたり、空腹のお客を待たせるわけにはいかない。しかし、その一方、必要なときに必要なだけの在庫でフレッシュな料理を提供したい。

 ここで、顧客満足の実現のために、庄司社長が着目したのは「トヨタ生産方式」だった。「ジャストインタイム」「カンバン方式」「小ロット生産」などで知られるトヨタ生産方式は、製造業の生産管理の手法として広く普及している。業種は異なるが、外食のセントラルキッチンにも応用できるのではないかと考えたのである。

◆最初は掃除と整理整頓ばかり

 1993年8月、トヨタ生産方式を手掛けるコンサルタント会社に指導を委嘱した。札幌のセントラルキッチンを訪れたコンサルタントは、細部まで見て回り、まず最初はこう言った。
 「毎日ちゃんと掃除してください」。約1年後にはこう言い始める。「整理整頓を徹底してください」…。要は「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5S活動である。いつの間にか染みついたムダを自覚し、トヨタ式に取り組むためには、まず5Sによる意識改革が必要だった。5Sを卒業すると「JIT(ジャストインタイム)改革」の段階に進む。だが、本格指導が始まっても現場はとまどうばかりだった。

 「工場の世界になじみがなくて、先生が話す言葉の意味自体わからないんです。現場の責任者の私がわからないとまえに進まないので、5年ぐらいは必死で勉強しました」(阪木好行生産システム生産技術部長)
コンサルタントも、外食産業という異業種は初めてで、完全に理解できるまでじっくり時間をかけてくれた。

 中村勝廣副社長は、コンサルタントの「小さく作れ」という指導が受け入れられなかった。「小ロットで作ると段取り替えに時間もコストもかかります。口では『やります』と返事ながら現場が悲鳴を上げないよう、ソース作りで大釜を使い続けたこともありました」
 そんなあるとき、ミスでソースを大量に廃棄することがあった。
 「コストダウンに逆行すると思っていましたが、小さい単位で作ったほうがロスを最小限に抑えられ、かえってコストセーブになることを思い知りました」。

 不必要に大量生産し、在庫を過剰に持つことのデメリットを肌で知る。発注では「カンバン」も導入した。配送は「大口で1日1回」から、「小口で1日、2、3回」に変わり、店舗からは頻繁に発注がかかり、配送車は納品の帰りに発注のカンバンを持って帰る。現場はカンバンに基づいて生産し、店舗に届ける。在庫を最小限に抑え、常にフレッシュな料理が提供できるようになった。
 当初なれないうちは欠品が発生したこともあったが、今はほとんどない。生産現場のマネジメントも確立して、生産の平準化、標準作業化などが実践された。運転スケジュールや勤務のシフトをきちんと組めるようになり、機械や従業員に無理がかかることもなくなった。それもロス率の低下、生産性向上につながっている。

 こうして築いた新しい生産管理システムは、「アレフ生産方式」と名付けられる。
 約10年かけて確立したアレフ生産方式。教えられる側が教える側に回り、自らの手で協力会社にも普及させる活動も始まっている。
  (ニュース出所 商工ジャーナル 8月号)


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