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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.196  2011年6月

〜困ったときの友こそ真の友〜

 東日本大震災という緊急事態に、世界中で日本支援の動きが展開されている。しかし、各国政府の動きは一様ではなく、支援策の裏には熾烈な国益の争いが反映されている。

◆米軍人の動員は1万8千人

 巨大地震と巨大津波はいまも尚、被害を広げつつある。管直人首相は自衛隊10万人に加えて予備自衛官6000人を投入した。軍事力の半数近くを集中展開するという緊急事態の下で私たちは改めて、幾つかのことに気づかされる。第一は国際社会には善意も溢れていれば、国難の隙を突いてくる悪意も存在することだ。国際社会には友人と共に常に対立勢力もいるのである。
 そこで改めて米ロ中3ヵ国の支援を見てみたい。まず、どの国も国民は一様に日本支援の輪を広げてくれた。反日感情の強い中国でさえ、日本への同情と支援が叫ばれた。私たちは、これらの国々の一般国民の友情を決して忘れない。

 対照的に各国政府の動きは一様ではなく、各々特色がある。オバマ大統領は「日本は親友であり同盟国だ。復興のために出来る支援は全て行う」「日本国民が最も協力を必要としているときに我々は彼らと共に居続ける」と語った。大統領の言葉どおり、米国は最大最速の救援、救助に踏み切り、米軍が自衛隊と一体となって地震・津波と原発事故の双方に取り組んでいる。
 日本救援に動員された米軍人は現在約1万8000人、空母「ロナルド・レーガン」をはじめ、艦船19隻、航空機140機、国際開発局の救助隊144人も活動し、原発の専門家39人も来た。放射能被害管理の専門部隊450人も派遣される。

 放射能という目に見えない敵との戦い で、先頭に立って注水作業に当たる自衛隊への米軍の強力な支援が続いている。原子炉冷却に当たるのは、特殊機能を持つ米国の水船2隻だ。3月27日には青森県八戸港にLNGのタンカーが入港した。これは港内に沈む障害物を引き揚げる特殊機能を備えた米軍艦船が港を清掃した結果だ。これで発電所の稼動と電力供給が強化される。

◆熾烈な国益の争い

 仙台空港も18日、長さ1500mの滑走路の暫定運用が開始。米軍のC130輸送機が食品や水などの救援物資を震災後初めて運んだ。以降、同空港は物資輸送の拠点となる。無論、こうした復興は基本的に自衛隊、消防隊、警察、地元自治体の努力があってこそだが、米国の親身な協力が力強い支持になった。
 ロシア政府も中国政府も支援の手を差し延べた。プーチン首相は日本を「親しい隣国」と呼び、ロシア非常事態省は救助隊75人を日本に派遣した。プーチン首相は15日、サハリン沖で生産するガスを日本向け輸出に充てる考えを示し、政府系企業の「ガスプロム」が中心となって20年までの生産開始を目指すほか、ガス田「サハリン2」の液化天然ガス工場を15年ごろまでに増設し、対日輸出を拡大する方針も伝えられた(3月19日「毎日新聞」大前仁記者)。

 だが大前記者は、ロシアの対日資源支援は「日本が喫緊に必要なガソリンではなく、ロシア国内の資源開発を促進する狙いがある」とも指摘。対日救援の形をとりながら、真の目的はロシアの資源開発とジネスの利潤だということだ。
 3月25日にはメドベージェフ大統領が「強い地震や津波が発生しうる地域での原発建設を国際的に規制するべき」で、「(原発建設の)規則や基準は(各国に)共通のものでなくてはならない」と気になる発言をした。ロシア製原発の安全性を強調し、福島規模の事故を「近隣国や世界にとって危険だ」と断罪したのである。展開次第では日本の原発技術を封じ込めかねない発言だ。救助策は決して100%の善意ではなく、熾烈な国益の争いを反映しているのだ。

 福島原発事故が人類の危機であることは否定出来ず、賢い対処が問われている。ロシアはそれを逆手にとって、日本を追い込みかねない国際社会の枠組み構築を示唆した。対照的に米国はウォルシュ海軍太平洋艦隊司令官を派遣し、横田に支援のための統合司令部を設置するなど総力をあげての対日協力体制を作り実行中だ。
 
米軍は強襲揚陸艦「エセックス」など艦船3隻を山形県酒田港沖の日本海に集結させ、そこから沖縄県名護市駐屯の海兵隊を宮城県に送り込んで、仙台空港の復旧支援に当たったが、この日米共同作戦の最中、偵察機を領空侵犯スレスレにまで飛ばしたのがロシアである。

◆厳しく抗議せよ

 ロシア政府は大地震発生後2度も、日本領空近くまで戦闘機を飛ばした。1度目は3月17日にロシア空軍の電子情報集機が、2度目は21日、スホーイ27戦闘機と電子戦機の2機が日本領空に接近した。日米合同作戦の情報偵察と、未曾有の危機に陥った日本の防空対処能力を試したと見られる。隙あらば付け込むのが国際社会の実相だ。
 中国も3月26日、東シナ海で国家海洋局所属の海洋調査船の搭載ヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に高さ60m、水平距離90mまで異常接近し、一周した。昨年4月、東シナ海中間線付近で海上自衛隊の「あさゆき」に異常接近したのと同じ、国際法の禁ずる危険行為だ。日本が国難に陥っても、ロシアや中国の戦略に基本的な変化はないのである。

 航空自衛隊出身の自民党・宇都隆史参議院議員は、自衛隊員の半数近くを東日本に集中展開させて、北方領土や沖縄方面をはじめとする国防への影響なしとはしないと指摘する。であれば、いまこそ、常にも増して国防を確かなものとするための明確な政治の意思が必要だ。管民主党にそれがあるかといえば、全くない。国難に当たって国防に責をもてるかといえば、論外だ。松本剛明外相は、ロシアの領空侵犯類似行為に「お見舞いの言葉や支援の申し出をいただいているという気持ちを信じる」と述べ、抗議はしないと表明した。

 中国やロシアの対応に見てきたように、国際政治における国益は、首相の願うような開かれたものでも、松本外相の信じるような善意ばかりでもない。むしろ、国益は国毎に閉ざされた性質を持つのが、国際社会の冷徹な真実だ。そのことを理解できていないために、首相も外相も味方と脅威の見分けがつかないのだ。
 まず、松本外相は中ロ双方の支援を多としつつも、異常接近に厳しく抗議せよ。そのうえで、首相は同盟国米国の日本救援と復興を目指した大規模な「トモダチ作戦」に心からの感謝の気持ちを表明せよ。

(ニュース出所 週刊新潮 4月7日号)


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