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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.201  2011年11月

〜マイルドなインフレなくば「超円高」は何度でも来る〜

 今年4月末、経済同友会の代表幹事に就いた長谷川閑史氏。2003年に医薬品最大手、武田薬品工業の社長に就き、在任9年目で社長としても実力者だ。現職社長だけに、昨今の超円高や長引くデフレなど、混迷を深める日本経済に危機感は強い。その長谷川氏を直撃した。(取材は9月6日)

◆政界も経済界もサポートすべき

今は超円高水準ですが。
長谷川 経営者としては、レートが急激に振れることは、高くても安くても好ましくはない。特に円高はもちろん。購買力平価上は50円でもおかしくないと言う人もいますが、日本の経済のファンダメンタルズを見たら、とてもそんな状況にはない。今、欧米は財政問題で苦しんでいて、解決方法の1つとして自国通貨安に誘導している。その逃げ場として、円が1つの投資先になっているのかなという認識です。

−今の円高水準が定着、さらに切り上がると、日本の輸出立国という立場は壊滅します。
長谷川 もう、成り立たないでしょうね。実際、日本の輸出依存度は17%ぐらいで、アジアの中でも最低です。今までは海外でのビジネスが7〜8割を占めても、生産の5、6割は国内でやっていたのに、それもできにくくなる。そうすると、中小の部品メーカー、2次3次の下請けも、メーカーができるだけサポートして、出ていけるところは海外でともに頑張るという方向を考えないと、当然ジリ貧になっていきます。この点は、企業だけでなく、政府、経産省も一緒になってもっとサポートすべきですね。
 それと、中小企業でいい製品・技術を持っていても海外展開できない要因は、ファイナンスの力、人材獲得の力、海外でグローバル化していくノウハウなどですが、これは大手メーカーをリタイアした人たちが豊富に持っています。そういうリタイア組をうまく活用できれば、中小企業も海外進出が不可能ではないと思う。そこをアレンジすることを、もっと政界、経済界挙げて考えるべきです。

−日本のモノ作りは、一部の研究開発機能だけ残し、みんな海外に出ていくかもしれません。
長谷川 日本がずっとデフレできているのが問題で、世界は逆にずっとマイルドなインフレできているわけです。だから購買力平価云々の話も出てくるわけで。日本経済をマイルドな成長とインフレに戻すことを何が何でもやっていかないと、超円高という問題は本質的に解決せず、これから何回でもやってくるでしょう。おまけに、また単独で為替の介入をしてみても、効果は知れています。こういう状況だと、常に円高プレッシャーがかかるのは事実ですね。

◆新興国にでていくしかない

 日本の経済再生の条件は何でしょう。
長谷川 短期的な処方はありません。日本は、少子高齢化と成長要因である労働力が停滞・減少している一方で、マーケットの自由化、規制改革は遅々として進んでいない。イノベーションによる生産性のアップにも限界があり、それで国内の経済成長を維持できるわけではない。
 結論から言えば、企業がやらなければいけないのは、成長市場つまり新興国に出ていってプレゼンスを確立し、その国の経済成長に貢献すると同時に、その富を一部日本に持ち帰ってくること。これを徹底的にやらないといけない。新興国が、成熟先進国の経済成長をはるかに上回るトレンドは、向こう10年は変わらないから。
 これから10年のアジアだけみても、社会インフラのニーズが8兆ドルあるわけです。上下水道、高速鉄道、高速道路、電力発電をはじめとしたエネルギーですが、それらについて日本は最も優れた技術を持っているわけですから、政府と一体となって取り組むべきでしょう。
 20兆円以上ともいわれる国内の需給ギャップを国内で解消しようと思っても、もう無理です。だから、その分は新興国市場でカバーしていく。一方で国内は、少子高齢化対策や市場開放のための規制改革を粘り強くやって、その効果が出てくるまで辛抱していくしかありません。
 人口減少問題については、高技術を持った頭脳労働者を海外から計画的に受け入れていく。でも、それは移民を受け入れるべしという意味ではありません。一定期間の就労ビザでもいいし、グリーンカード的なものを考えてもいいかもしれません。ともかく、マイルドな成長とインフレを目指していく。それしかないでしょう。

◆とにかく、もがくべし!

今後、税のあり方はどう考えますか。
長谷川 法人税率は、日本が40%なのに対し、韓国24%、中国25%、シンガポールに至っては17%を謳って企業誘致をしている。日本も魅力的な税体系の条件を整えないと、海外から企業が来てくれません。消費税も復興目的で期間限定、パーセント限定であれば、世論的に十分にご理解いただけるんじゃないかと思います。

−ですが、特に流通小売業の経営者は、消費税率引き上げは景気を冷やすだけだからもってのほかと、警戒感を強めています。
長谷川 税率アップの幅も1〜2%というし、今すぐと言ったところで、日本の消費税は逆累進性を緩和するために、戻し税とか細かな配慮をすることになる。それには納税者番号がないとできませんから、どんなに早くやっても2013年度からできたら御の字のスケジュール感ですよ。
 だから、今すぐにということにはならないし、過去15年、20年を振り返って、引き上げのいいタイミングってあったんですかと問いたいです。ほかの先進国に比べて、所得税などの直接税に偏り過ぎだし、安定財源としては消費税しかない。なので、消費税を少し増やしていくということは、理にかなっていると思います。

−長谷川さんは同友会の代表幹事着任時、コップ半分の水をもう半分しかないかまだ半分あると考えるかで、自分は後者と言われてました。
長谷川 嘆いてもしょうがない。誰も助けてくれないんですよ。自分でできることを必死でもがかないと、道は開けない。とくかくもがかないとダメです。責任ある地位にいる間は、誰が何と言おうともがき続けて何とか道を開いていく。そのくらいの気持ちがないと、この厳しい時代、やってられません。その覚悟がなかったら、トップには就かないほうがいいですね。

(ニュース出所 月刊BOSS 11月号)

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