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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.212  2012年10月
〜対中外交はベトナムに学べ〜
 中国と長い国境を接し、常に経済的・軍事的優位に直面しているベトナム。だが、平和、全方位外交という現実の国際社会では通用しにくい方針を掲げながら、実際には中国の要求を退ける真の強さを発揮し続けている。
 
◆通貨戦争とは何か

 アジア情勢が荒れ模様だ。南シナ海の領有権を巡って中国とその他諸国との主張が大きく隔たり、ASEAN外相会議は歴史始まって以来、初めて共同宣言を出せない異例の事態に陥った。全てを一人占めしようとする中国を国際法で牽制できなれば、もう一つの手段は軍事力である。これには米国の動向が鍵となる。6月、パネッタ米国防長官は、アジア安全保障会議で新国防戦略を打ち上げ、アジア各国に各々の果たすべき責任と役割があることを示した。 

◆国連決議に違反した中国

 国連は5月、シリアが内戦に陥ったと定義した。多くの人々が政府軍に殺害されているにもかかわらず、シリアへの制裁決議ができずにいるのは、中国とロシアが安全保障理事会常任理事国として拒否権を行使し、アサド大統領を守っているからだ。イランや北朝鮮を守り続けてきたのも中国で、自ら誓約した国連安保理での北朝鮮への制裁決議に違反し、密かに北朝鮮のミサイル開発に手を貸していた。国際社会の抱える問題の元凶が中国であることを強調しなければならない。
 
しかし今、世界と中国は対立しながらも、経済によって深く結ばれている。対立と協力をどのように進め、中国の脅威をどのようにかわしていくのか、複雑な対応が必要だ。とりわけ、その地政学的状況からアジア諸国が受ける影響は深刻だ。なかでも、ベトナムの「闘い」こそ複雑で、日本が学ぶべきことは多い。

◆1000年にわたる中国支配

 ベトナムは、約1000年間、中国に支配された苦い歴史がある。ベトナムは現在、中国をどう捉えているのか。ベトナム社会科学院中国研究所副所長、黄世英氏は、「我々は中国に支配されたことはあるが、中国人になったことはない。中国は実に難しい近隣国ですが、我々は賢いやり方で共存しなければなりません」と語る。
 黄氏の部下、グエン・フイ・クイ教授は、「中国外交は相手によってアプローチが全く変わる。我が国に対しては、中国は歴史を忘れて将来を見る。従って我が国も、対中友好関係を保つために慎重な対応に徹している。歴史を学び、記憶することで、より良い将来を目指さなければならないと考えています」と語る。

 
また、ベトナムが中国を必ずしも恐れているわけではないことを示唆する発言もあった。黄氏は、「中国の力を凌駕する大国が存在する限り、容易に軍事力の行使には踏み切れないでしょう。国際社会が共通の認識を持ち、ともに中国に反対の声をあげる限り、否応なく中国は冷静に対処せざるを得ないでしょう」と語る。

◆原潜を隠せる南シナ海

 ベトナムの首都ハノイの正面には、トンキン湾を隔てて、大海軍基地を擁する海南島がある。中国が同基地の守りを固め、原子力潜水艦の能力をさらに高めれば、米国に対する核の第二撃能力が担保され、論理上、中国は米国と対等に戦う最低限の能力を獲得することになる。
 
国家基本問題研究所客員研究員の川村純彦氏は、そのために必要なのが、長距離核ミサイル搭載の原潜を隠すに足る深さを持つ南シナ海だと指摘する。東シナ海も黄海も十分な深さがないために、南シナ海の重要性が否応なく高まるというのだ。中国が南シナ海をその影響下に封じ込めれば、アジア諸国が頼みとする米海軍の力は深刻なまでに減殺されるだろう。

◆「国民戦争」で国を守る

一方、ベトナムは、南シナ海でインドと天然ガス・油田の共同開発を推進中だ。インドにとっては、中国によるインド封じ込めへの反発と対抗措置の意味があり、ベトナムにとっては、南シナ海は自国の海だとの主張がある。
 ベトナム外交学院所長のホアン・アン・トゥアン氏は、ベトナムは平和貢献の国ならどの国とも協力する一方、どの国とも特別な関係は築かないとして、国際法に基づく問題解決という平和志向と全方位外交を繰り返し強調した。そして、「南シナ海の安全保障の危機が、今、顕在化して火山になっているわけではないが、中国次第でそうなる可能性はあり得る。火山になったら、国民全員が参加する国民戦争で国を守る」と語った。

 
すでにベトナムは、領有権を主張する南シナ海の島々に軍人とその家族を住まわせ実効支配中で、一般人の移住も奨励されている。こうした措置はむろん、中国の強い反発を招いているが、領土を主張するには言葉だけでは不十分で、実際にそこに国民を住まわせなければならないという道理を、ベトナムは実行しているのである。尖閣諸島を実効支配していると言いながら、日本国民の上陸を長年にわたって阻止してきた日本の外務省、歴代の政権は、ベトナムの事例を見て大いに反省しなければならいだろう。

◆TPP参加の戦略的重要性

 ベトナムの国益意識は、早い段階からTPPへの参加を表明してきたことにも読み取れる。まずTPP参加で国を富ませ、中国と距離を置く力を養い、長期的には開かれた国家体制に移行しようとしているのではないか。中国はベトナムのTPP参加を米国への接近と見て強く反対し、機会あるごとにベトナムに圧力をかけ続けている。それでも、ベトナムの意思は揺るがない。そして、南シナ海の島々を国民戦争で守り抜こうと努力している。
 南シナ海が、中国という異形の大国との熱い軋轢の起点となりつつある今、奮起しなければならないのは、実は日本なのである。他国の保護の下で他力本願で過ごしてきた戦後の日本の在り方を、根本から変えなければならない。アジア諸国の日本に対する期待は、意表を突くほど真剣で大きい。日本こそが、中国の真の脅威を正確に認識し、国家としての自立性を高め、軍事力を含む国力を養い、アジアにおける秩序づくりの先頭に立たなければならないのである。

                    (ニュース出所 WiLL 9月号)
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