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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.214  2012年12月
〜超高齢化社会の楽観シナリオ 2050年の「この国のかたち」〜
 日本の未来には、これまで人類が経験したことのない高齢化社会というきわめていびつな社会が待ち受けている。さまざまな悲観論が飛び出しているが、超高齢化と原発事故の経験がのちのち有利に働き、そこで生まれた技術が世界で売れる時代は必ず来る。
◆悲観論には賛成できない

 2040年の日本の人口は、85歳以上が1100万人に対して0〜4歳が300〜400万人。2060年になると、85歳以上だけが他の世代と比べてほぼ2倍以上になる。2050年あたりの日本では、後期高齢者は今の1.7倍に達して、最も厳しい時期を迎えていると考えていいでしょう。
 このため、年金や医療にかかる費用がますます増え、現役世代の負担は大きくなる。企業は目先の業績を落とさないために、毎年のように賃下げ繰り返し、価格競争を突っ走るなど、さまざまな悲観論が飛び出しています。
 
しかし「人口が減るから日本は衰える」といった議論にはまったく賛成できません。これまで人類が経験したことのない社会のトップランナーだからこそ、日本が優位に立てる点がいくつもあるからです。

◆健康ブームは正しい

 第一に、日本の「健康寿命」(心身とも健康である年数)は既に世界トップクラスです。平均寿命も、直近の2005年から2010年でさらに伸びました。寿命が伸びているということは、日本がますます健康で文化的な国になっていることを示しています。
 日本の高齢化率(65歳以上の比率)は23%に上ります。これに対して若い世代が多いアメリカは12%。ところが、国民1人当たりの医療費はアメリカの方が高い。アメリカは、実際には効率がとても悪いのです。

 ちなみに、この1人当たりの医療費は、平均寿命とはまったく関係がありません。アメリカ人の平均寿命は、日本人と比べるとおよそ4年も短い。2030年を過ぎるとアメリカも高齢化率が20%を超えますから、このまま行くと医療費が火の車になって国が破綻するでしょう。
 逆に、日本人は高齢でも元気な人が多く、健康寿命は男女とも70歳を超えています。医療費は、小さな病気をするくらいのことでは増えません。生きるか死ぬかギリギリな状態で入退院を繰り返していると、バーンと跳ね上がる。この調子で健康寿命がさらに伸びれば、医療費はかなり助かります。
 
世界で最も効率的な医療セクターを持ち、しかも健康志向、予防医学、食育の普及など、正しい方向に向かう下地はできているのです。

◆電力不足が功を奏す

 震災による世界に例を見ない苦しい体験が、ものづくりの分野でのちのち有利に働くと見られます。原発事故によって需要が高まった節電技術や断熱工法、耐震技術は、世界に売れる「日本のものづくり」となるでしょう。
 今夏は、約16%の節電を達成したと言われています。LED照明が普及し、省エネ家電が売れたことが功を奏しました。節電キャンペーンは、幅広い企業が儲かる大チャンスとなります。
 日本の省エネ家電の開発は間違いなく世界トップだし、LEDは日本発祥と言っていい。断熱工法も、電力不足の日本では今後ますます需要が高まり、技術が発達するでしょう。耐震技術については、すでに世界の追随を許しません。
 
  世界の技術革新を常にリードしてきたアメリカも、これらの分野では恐らくダメでしょう。近年「シェールガス革命」が起きて、新たなエネルギー資源を手にしたからです。豊富なシェールガスがあるから将来も大丈夫という。
 しかし、安いエネルギーが無尽蔵にあると、節電技術や断熱工法の開発が進みません。逆に電力不足に悩む日本では、開発に一層力が入るはずです。そしてその技術は、中国、韓国、インドといったエネルギー不足の国で売れる。
 
日本が有利な点はもう一つあります。それは世界的な危機が予想される食糧資源の不足に陥らないということです。自然環境に恵まれた日本は本来、食糧はいくらでも自給できます。

◆値上げの天才の時代がくる

 ただし、「人類が経験したことのない高齢化社会」を迎えるにあたって、日本は経済に対する考え方を根本的に変えなければなりません。
 戦後の小売りを引っ張ったのは、ダイエーの中内功さんをはじめ、値下げの天才でした。でも人口減少社会で値下げをやり続けたら、食品スーパーは絶対に倒産する。いま必要とされるのは、値上げの天才。値上げ、あるいは価格維持ができなければ、賃金はどこまでも下げ続けられてしまうからです。
 
人口減少社会では、放っておけば消費が際限なく落ちていきます。消費が落ちないために必要なのは、これまで否定されてきた値上げであり、その前提となる賃上げなのです。

◆スイスの賃金は日本の二倍

 日本の賃金はアジア諸国と比べて高いと言われがちですが、先進諸国と比べてそんなに高いわけではありません。スイスは日本の1人当たり賃金の約2倍を払っています。一般にGDPのうち約半分は人件費ですから、2050年までに1人当たり賃金を現在の1.4倍(年率1%増)まで増やせば、日本のGDPは現在と比べてまったく縮小しないという計算になります。
 もうひとつ大事なことは、国民に消費する時間を与えることです。人口減少とは、その国の国民が使える時間の減少でもあります。仕事ばかりしていては消費は一向に増えません。国全体の経済のことを考えれば、企業が福利厚生を充実させ、自由な時間を社員に与えることも重要な役目になってきます。
 2050年まで約40年あります。時代が大きく変わるのに十分な時間です。幕末動乱のさなかにあった1865年に、日本がロシアに戦争で勝つ(1905年)ことを誰が予想したでしょうか。怖いのは、国や企業がかつての考え方にいつまでもしがみついて、新しい時代に踏み出す勇気を持たないことなのです。

  
(ニュース出所 文藝春秋 11月号)

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