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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.215  2013年1月
〜カルロス・ゴーン独白 「日本企業を、私なら再生できる」〜
 日本の製造業が総崩れの中、なぜ日産だけが?ゴーンが語る組織再生の方法論。
 2011年度の決算では、日本の製造業が総じて苦境に陥っているなか、日産自動車は増収増益と気を吐いた。営業利益は自動車大手三社の中では最も多い5,458億円だ。グローバル販売台数は過去最高の484.5万台を記録している。
 注目すべきは、東日本大震災やタイの洪水などの「荒波」を跳ね飛ばしていることだ。尖閣問題で中国での販売不振の長期化が予想されると、インドの販売網拡大、タイの生産能力の倍増に一気に動き出した。
 
ゴーン社長はどのようにして、危機に即応できるように企業体質を変えていったのか。
◆コスト削減だけではない

 〜当初、リストラやコストダウンで利益を上げているだけだと見られていました。

「99年当初から、まずはリストラクチャリングやコスト削減をするけど、商品や技術といった成長分野にも投資をしていくと申し上げていました。ただ、それを信じる方がいなかった」
 系列企業の整理や、取引先への強烈な価格引き下げ要求といったコスト削減でゴーン氏が収益を立て直したのは事実だ。だが当時と現在とは違うという。
「確かに2000年代半ばまではコスト削減が中心でしたが、いまは調達の考えが完全に変わりました」(西川廣人副社長)

 現在は、日産の「指導部隊」が取引先に入り込み、一緒にコスト削減を図るようになった。「日産と一緒に100円のコストを削減すれば、50円は部品メーカーに返すシステム」(井下康ジョンソンコントロールズ副社長)によって、部品メーカーにメリットを提示しながら取り組む共存共栄スタイルだ。
自動車産業を長らく担当しているシティグループ証券アナリストの松島憲之氏は「日産系部品メーカーの利益率が高まっている」と言う。例えば、かつて経営破たん寸前だった鬼怒川ゴム工業は11年度の営業利益率が11.8%と自動車部品メーカーとしては驚異的な利益率を誇る。

「企業が再生するまでには過程があります。まず第一波が原価低減とリストラ。第二波は成長戦略です。現在は第三波の段階です。技術への投資によってイノベーションを起こし、市場のリーダーを狙う」

 日産の快進撃の背景には、自動車産業のビジネスモデルの変化がある。リーマンショック以降、北米市場が一時的に落ち込んだ半面、新興国市場が大きく伸びた。それが積極的に新興市場を開拓するゴーン戦略とマッチした。
 中国市場では、日本企業の中では最も高い7.3%のシェアを誇っている。とはいえ、中国だけに依存した収益構造ではない。
では技術に関してはどうか。トヨタ「プリウス」の大ブームによって、ハイブリッド車の開発中止は、コスト削減至上主義の失敗の象徴のように語られていた。しかし日産は10年に電気自動車の販売を開始して、さらに独自開発のハイブリッド車も復活させた。
 本業の「ものづくり力」はトヨタを上回っている。トヨタの11年3月期の決算では、営業利益のうち86.2%が金融事業の稼ぎで、自動車製造部門は6.1%にとどまっている。一方で、日産は74.3%が自動車製造部門の利益だ。

「短期的な課題に目を向けながらも、同時に長期志向でもなければ、昨今の経営環境では絶対に成功できません。私はミシュランでゴムのプランテーション事業に携わりましたが、ゴムは苗木を植えてから収穫まで7年かかる。これと同じで、投資は商品であれ、技術であれ、人材であれ、時間がかかる。忍耐強く待たなければ、成果を得ることはできない」
◆ピンチに強い組織に変貌

〜 先ほど「人材にも投資した」と言いましたが、その点を説明してください。

「私が99年に会った時、生産部門は販売・マーケティング部門を、販売・マーケティング部門は開発部門を信用していなかった。しかし今はお互いを信用しています」

 部門間の不信と、縦割りの弊害を解消するために採り入れられたのが、「クロス・ファンクショナル(機能横断)活動」だ。各部門から選抜された社員からなる組織が、全社的な視点から課題解決にあたる手法である。
「あらゆることを全体最適の視点でチェックするようになったから、社内は摩擦だらけになった」(志賀俊之COO)という。それだけ真剣に議論がなされているのだ。
 一方、そうした摩擦でホワイトカラーの生産性が落ちないような仕組みも導入された。「V-up」という手法で、早く、確実に会議で結論が出せるように、進行ルールを細かくマニュアル化したものだ。
 効果を発揮したのが、東日本大震災やタイの洪水など非常時だった。
「リーダーの決め方から、部門間での情報共有、優先順位の手法まで決まっています」(玉浦賢二「V-up推進・改善支援チーム」エキスパートリーダー)
災害のダメージが抑えられたことは、決算の数字が示している。

〜 迅速に対応できた理由をどう分析していますか。

「これまで様々な危機に直面してきて組織に耐性ができていたことと、クロス・ファンクショナルな社内の連携と、クロス・カントリー、国を超えた連携が機能していたことが理由でしょう。
日産はトップ100のポストのうち約4割を日本人以外が占めており、その国籍は12にもおよんでいます。こうした多様性が組織の透明性につながり、かえってコミュニケーションがやりやすくなっています。会社の価値観は共有していますから」

 日本的な「あうんの呼吸」ではなく明確にメッセージを伝える企業文化が育っているのだ。
 日産の好業績を支えるグローバルな事業展開は、組織の国際化によって成立しているが、日本国内でも中途採用によって積極的に人材の多様化を図っている。その代表例がトヨタ自動車からの転職組だ。能力があるとみれば、経歴や性別に関係なく起用される。
次号へつづく

(ニュース出所 文藝春秋 12月特別号)
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