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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.218  2013年4月
◆松下幸之助「商売戦術30カ条」を読む

 理念、哲学をひたすら説いてやまない松下幸之助の言葉の中でも、商売について具体的に踏み込んだ文言として異彩を放つのが「商売戦術30カ条」だ。不況が長引く日本経済にあって、より創造性を求められるこれからの商売を占うとき、その教えはどのような示唆を与えるのであろうか。松下の商売観を代表するものとしてその内容を紹介するとともに、その奥で松下が求めた大いなる商売の意義を振り返る。

第 1条 商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。
第 2条 お客様をじろじろ見るべからず。うるさくつきまとうべからず。
第 3条 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
第 4条 棚立上手は商売下手。小さい店でゴタゴタしている方、却(かえ)ってよい場合あり。
第 5条 取引先は皆親類にせよ。之(これ)に同情をもって貰(もら)うか否か店の興廃のわかるるところ。
第 6条 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客をつくる。
第 7条 お客様の小言は神の声と思って何事も喜んで受け入れよ。
第 8条 資金の少なきを憂うるなかれ。信用の足らざるを憂うべし。
第 9条 仕入は簡単にせよ、安心してできる簡単な仕入れは繁昌の因(もと)と知るべし。
第10条 100円のお客様よりは1円のお客様が店を繁昌させる基(もとい)としるべし。
第11条 無理に売るな。客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ。
第12条 資金の回転を多くせよ、100円の資本も10回まわせば1000円となる。
第13条 品物の取り換えや返品に来られた場合は、売った時よりも一層気持ちよく接せよ。
第14条 お客の前で店員小僧をしかるくらいお客を追い払う妙手段はない。
第15条 良き品を売ることは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり。
第16条 自分の行う販売がなければ社会は運転しないという自信を持て、そしてそれだけに大なる責任を感ぜよ。
第17条 仕入先に親切にせよ、そして、正当な要求は遠慮なく言え。
第18条 紙一枚でも景品はお客を喜ばせるものだ、つけてあげるもののない時は笑顔を景品にせよ。
第19条 店の為に働くことが同時に店員のためになるよう、待遇その他適当の方法を講ずべし。
第20条 たえず美しい陳列でお客の足を集めることも一案。
第21条 紙一枚でも無駄にすることは、それだけ商品の値段を高くする。
第22条 品切れは店の不注意、おわびしてのち「早速取り寄せてお届けします」とお客の住所を伺うべきである。
第23条 正札(しょうふだ)を守れ!値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ。
第24条 子供は福の神。子供づれのお客、子供が使いに来ての買い物には特に注意せよ。
第25条 常に考えよ、今日の損益を。今日の損益を明らかにしないでは寝につかぬ習慣にせよ。
第26条 「あの店の品だから」と信用し、誇りにされるようになれ。
第27条 御用聞きは何か1、2の品物なり、商品の広告ビラなり持って歩け。
第28条 店先を賑やかにせよ、元気よく立ち働け、活気ある店に客集まる。
第29条 毎日の新聞の広告は一通り目を通しておけ、注文されて知らぬようでは商人の恥と知るべし。
第30条 商人には好況不況はない、何れ(いずれ)にしても儲けねばならぬ。

 つまり、この30カ条は満9歳から始まった火鉢店や自転車店での奉公生活から、厳しいしつけのもとに体得した商いの通念そのままだったといえよう。
◆商人の条件と商売の味わい

 以上、見てきたように「商売戦術30カ条」は、戦術とはいいながらさまざまな表現の中に、松下の商売哲学がひそんでいることが分かるだろう。この商売戦術にしたがっていけば、根本的に誤った商売をすることはまずないはずだ。
 ただこれはマニュアルではないので、絶対とはいえない。商人としての必須の条件を具えていない人間が、いくら形だけ商売のまねをしてもうまくいかない。

 ある部下が松下に、「商売に携わる者が具えておかなければならない条件は何でしょうか」と質問したことがあった。すると、松下は即座に「大事なことは3つある」として次の3つを挙げたという。まずは、「商売の意義が分かっていなければならない」ということ。2つ目には「お客様の心が読めなければならない」ということ。そして最後に挙げたのが、「相手より頭が下がっていなければならない」こと。
  これらは商人の条件として、あわせて心しておきたい。
最後に、補足するべきことは、30カ条では述べられていない、商売の意義や責任をいう以前の商売の原点である。

 1968(昭和43)年、松下電器電池事業本部が発行した『販売のこころ』(非売品)という書籍がある。これは松下電器創業50周年を記念して、代理店、販売会社のプロフィールを1冊にまとめたもので、松下は冒頭に次のような一文を寄せた。

 物が動いて、お金が動いて、それで一応の商売が成り立つというものですが、もう一つ根本的に大事なことは、物や金とともに、人の心もまたこれにのって、移り動いていかなければならないということです。
 単に物を作り、物を売り、そしてお金を得ているというだけなら、商売とはまことにさくばくとしたものになってしまいます。そうではないのです。物とあわせて心をつくり、物とともに心を売り、そしてお金とともに心をいただく、つまり物や金が通い合うだけでなく、お互いの心というものがその間に通い合うことが、きわめて大切なのです。そこに、商売の真の味わいというものがあると思います。
 お互いにきびしい商戦の日々を過ごしています。しかし、そのきびしさに打ち負かされはしない。むしろその中に大きな生き甲斐と深い喜びを感じているのです。なぜなら、それは単なる売り買いでなく、懸命な奉仕の毎日であり、そこに良き心が通い合っているからではないでしょうか。

 物を買うという行為がネットの発展も含めて多様化している様を見ると、現代の商売模様は今や松下のいう索漠とした面も出てきた感がある。
 しかし、1つの商行為にも松下は心の通い合いが存在して、時として感動や喜びにつながると信じていたのである。
 「商売戦術30カ条」は商人としての常道を示す行動指針である。それは時代を超えた普遍性があり、忠実に実行すれば有効だ。しかし、実践にあたっては、戦術の中身を金科玉条のものとしてただ行動するだけではいけない。

 述べてきたように、商いとはどのような意義のある行為なのかをよく理解し、商いに携わる以上は、常にみずからが商人たる条件を具えているかどうかを省みて、商売の味わいというものを感得できる心持でいるよう心したいものである。その姿勢に努めていれば、いつか松下が求めた商いの原点に通じるのではないだろうか。

(ニュース出所 松下幸之助塾2013.3-4)
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