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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.220  2013年6月
  〜どちらが正しい?賛成派・反対派の主張を徹底対比!〜

 「TPPはアジア太平洋の繁栄を約束する枠組み。一日も早く交渉に参加しなければならない。日本は世界3位の経済大国。必ずルールづくりをリードできる」とTPP参加を自信たっぷりに表明した安倍晋三首相。本当かしらん?

◆これまでに交渉会合は16回開催

 本論に入る前にTPPの現状をおさらい。
参加国は11ヵ国。母体は2005年6月に発足したシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヵ国からなる「P(パシフィック)4協定」と呼ばれた。その後、09年11月にアメリカが参加表明。10年3月から拡大交渉にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが加わり8ヵ国。このときに名称も「TPP」と変わった。同10月、マレーシアが加わり9ヵ国。

 12年11月にカナダとメキシコが加わり11ヵ国。タイや台湾、フィリピンも関心を示しているという。TPPの基本方針は「工業製品や農産物を含むすべての物品について、交渉締結時に貿易総額の約80%の関税を徹底し、残り約20%に関しては12年間で段階的に削減する」としている。こうしたことから、日本では農業問題ばかりがクローズアップされるが、TPPで交渉されているのは、実に21分野にのぼる。

 確かに、最も議論が白熱しているのは @物品市場アクセスだが、その他A原産地規制 B貿易円滑化 C衛生植物検疫 D貿易の技術的障害 E貿易救済 F政府調達 G知的財産 H競争政策 I越境サービス貿易 J商用関係者の移動 K金融サービス L電気通信サービス M電子取引 N投資 O環境 P労働 Q制度的事項 R紛争解決 S協力 ?分野横断的事項…と重要な項目が目白押しである。

 これまでに交渉会合は、10年3月からの拡大交渉を起点に16回行われている。2〜3ヶ月ごとに会合を開き、ルールがまとまるように話し合う。直近はこの3月に10日間シンガポールでの会合。
 次回は5月15日からペルーのリマで開かれる予定だ。ちなみに日本はこの会合には出られない。交渉国から参加の承認が必要だからだ。日本の参加は早くても6月。交渉会合に加われるのは7月か9月になる見通しで、それまでは過去の交渉記録も見ることができない。ということは、日本では、だれも現在進行形の中身を知らないまま賛成、反対を言い合っているということになる。

3月15日、政府が発表したTPP加入による経済効果の試算は3兆2,000億円。これらを踏まえた上で、賛成派と反対派の主張を徹底対比する。
◎「アメリカ陰謀論」

 いまやTPPはアメリカが主導。日本の参加表明も、アメリカの外圧によるものではないのかという見方もされるほどだ。
賛成派の主張=アメリカ主導であってもTPPは多国間協議。アメリカの思惑通りにはならない。むしろ他の参加国と協力してアメリカの専横を抑えるべき。
反対派の主張=TPPはアメリカのアジア戦略の一環。アメリカに有利なアジア自由貿易圏のルールづくりのためのもの。日本にメリットはない。TPPの実態は日米FTAで、日本の市場を開放させるものだ。

◎「農業問題」

 TPP反対の急先鋒は何といっても農業関係者。国民生活に直結する食の問題だけに広範な議論になっている。
賛成派の主張=例外なき関税撤廃が前提だが、実際には例外容認の可能性は高い。消費者は農産物が安く買える。他国が日本向けの作物を作るようになり、多様な調達ルートができることで、逆に食料の安全保障が高まる。遅々として進まない日本の農業改革がTPP参加によって前進する。
反対派の主張=外国の安い農産物が大量に入り、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。日本の農業の衰退をもたらし、食料自給率のさらなる低下につながる。

◆非常に懸念の声が大きいISD条項

 一方で、農業者の反対はポーズだという声もある。TPP参加は既定路線であり、最後は農協を通じた農家への補助金交渉になる。そのためにも農業界は絶対反対の姿勢を見せておかなければならない。
 
農協は1993年にウルグアイ・ラウンドでコメの一部自由化を認めた際、8年で6兆100億円という農業対策予算を引き出した。TPPの関税撤廃品目次第では10兆円規模の交渉になるとも言われている。これでは本末転倒だ。

◆食の安全

 日本には厳格な食品安全基準が設けられている。それによって食の安全・安心が担保されているのだが、TPP参加によって基準の緩和が余儀なくされる。
賛成派の主張=そうした議論が出てきても、食の安全に関する制度の変更を、他国から一方的に求められる可能性は低い。理不尽な要求は拒否すればいい。
反対派の主張=日本の食品安全基準が「非関税障壁」と見なされる可能性がある。その結果、日本の基準を上回る残留農薬や添加物の入った外国産食品、BSEのリスクのある牛肉の輸入が増える。遺伝子組み換え食品の表示義務が引き下げられる。そもそもすでにアメリカからの要求で数々の基準を緩和してきた。TPPでそれが止まるわけがない。加速して“とどめを刺す”のがTPPの本質である。

◎「ISD条項」

 外国に進出した企業が、法律や制度の不当な変更などで損害を受けた場合、その国の政府を訴えて賠償金を勝ち取れる仕組みである。いまこれを導入すべきかどうか参加国の中で議論しているが、これには非常に懸念の声が大きい。
賛成派の主張=裁判は中立的な国際機関で行われるため、法制度が未整備な新興国にも企業は投資しやすくなる。日本の従来のFTAにも入っているのに問題にするのはおかしい。
反対派の主張=アメリカ企業による訴訟の乱発が予想される。判断を下す国際投機紛争仲介センターは世界銀行の下に設けられているが、世銀の総裁は常にアメリカ人。アメリカに有利な判決が出される傾向が指摘されている。

      (ニュース出所 財界さっぽろ 5月号)
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