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月刊 花みずき

商店街の現状と課題
 
 ・円滑化法の廃止後は

 ・S電気店・店主の話
 


ワンポイント
印紙税の軽減措置拡充と
非課税範囲拡大

月刊 経営一番

中高生52万人を蝕む
「スマホ亡国論」

・学校に行けない重症患者

・取り上げると大暴れ
・どこからが依存か
・技術と追いかけっこ
・東アジアは“依存先進国”

編集後記
 〜時泥棒〜



業績31の原理

 経営一番 NO.222  2013年8月
 〜日本は「クオリティ国家」を目指せ〜      前月のつづき

◆「道州制」がクオリティ国家をつくる

 こういう例を紹介すると、必ず「そういうことが可能なのは小さな国だからであって、日本のように1億2000万人もの人口を抱える国では無理だ」という反論が出てくる。
 確かに今のままでは無理かもしれない。
 とりわけ意思決定のスピードの遅さは致命的だが、ならば素早い意思決定が可能なサイズに日本を“分割”して、それぞれの地域で発展の戦略を考えればいい。
 そこで「道州制」なのである。
 
いま世界で繁栄している経済活動の単位を常識的な線で測れば、おそらく人口300万人から1000万人の間になろう。これがボーダーレス経済における「繁栄の最適単位」なのである。そこで、日本は1000万人を単位として、10から12の道州に分けるのが適当だろう。

◆秘策は土地の規制緩和

 官僚制と中央集権の最大の弊害は、各省庁の権益と結びついたガチガチの規制が日本から活力を奪ってしまうことだ。
 雁字搦めの規制のほとんどは、建築基準法の容積率、建蔽率から始まって、市街化調整区域、緑地法、日照権など、土地の使い方に関する規制である。
 裏を返せば、日本においては、土地利用を規制緩和することで成長する余地がかなりある。
 建築基準法ひとつとっても、寒冷地である北海道と温暖な九州がみな全国一律というのは悪平等以外の何ものでもない。土地をどう活用すればもっと有効であるかは、その地域の人たちが一番よく知っている。
 だから、「道州制」を導入して、各道州が各地域の事情に合った建築基準法をつくっていくべきなのである。
 
従来の規制を撤廃することで、とくに都市部においては、住宅とオフィスの需要が刺激され、一大建築ブームが起こるだろう。土地の規制緩和は、日本だからこそできる経済成長の「秘策」なのである。

◆「道州制」のフレーム

 道州制において個人と道州、あるいは個人と国の関係がどうなるのかという具体的なフレームを、次に示す。
 まず個人にとって生活の基盤となるのは、基礎自治体である。これは基本的には30万人規模の自治体であり、その役割は、警察・消防・地域医療・教育など生活基盤を提供することと位置付ける。
 産業基盤の整備や雇用の創出、あるいは土地の利用の法整備などを担当するのが人口1000万規模の地域国家である「道州」ということになる。
基本的にはこの基礎自治体と道州という二層構造で日本を統治することになる。
 
国の仕事は、外交と防衛と金融ということになる。中央に残った官僚の役割は、格段に小さなものとなり、基本的には各地域発展の「触媒」のようなものになる。中央官僚の大部分は、道州へと移籍し、各道州発展のための知恵を絞ることになるだろう。

◆北海道と九州の可能性

 「道州制」には必ず「四国などは本当に自立してやっていけるのか。どんな産業で、どれだけの税収が見込めるのか」という反論がある。
 しかし、明治維新以降、官僚主導でやってきて、四国にどんな産業が興ったというのか。
 あるいは、北海道で120年かけて、日本の官僚機構は何の産業も興すことができなかった。年間3000万人が訪れる観光は官僚が企図したものではない。
 四国は、物産が非常に豊富で、かつ気候も温暖。また産業面でも大塚製薬や青色ダイオードで知られる日亜化学、ユニ・チャームなどの一流企業が地盤を置き、経済規模でいえば約10兆円、これは世界で30位あたりのランクに入る。
 現状では、四国四県の連携はいいとは言えないが、四国道となって、他の道州と競争していくことになれば、変わってくるはずだ。
 北海道は、「観光立国」でいくのなら、雄大な自然と雪によって、すでにアジアやオセアニアからの観光客の人気を集めている。世界的な観光地とはなっていないのは、演出不足とアピール不足によるものだから、むしろ今後の努力次第で大きな成長が見込めるはずだ。
 
北海道では、実は金融業が有望である。緯度の高さを利用して、夏に2時間、時計の針を進めて、世界で一番早く新しい日を迎える金融マーケットを札幌につくれば、シンガポールに負けない金融センターになる可能性もある。

◆人材育成が「道州」の最大の仕事

 道州にとってもっとも大事な仕事は教育である。世界中のクオリティ国家を見れば、良質な人材こそ国の生命線であることがよくわかる。
 文科省が教育を司る必要はない。むしろ文科省が全国一律に日本の教育を牛耳ってきたことが、日本の現在の低迷を招いた最大の原因だと言える。
 デンマークやフィンランド、スウェーデンといったヨーロッパのクオリティ国家は、今や「教育」という概念自体を否定している。90年代に大胆な教育改革が進められ、学校は「教える」ところではなく、「学ぶ」ところだという大きな発想の転換があったのだ。「学ぶ」とは、事前に答えがわかっていることが前提となるが、21世紀というのは、正解のない時代である。規格化された人間を量産しても意味がない。
 各道州は、それぞれの地域の特性や戦略に沿った人材を育てていけばいい。例えば北海道では、ロシアとの経済連携を強めていく戦略に沿い、第二外国語としてロシア語を積極的に教えていくこともありうる。九州では、中国語や韓国語を必須科目にして、東アジアのハブ国家を目指していくことも考えられる。
 「道州制」というフレームを通すことで、今の日本が抱える問題点が浮き彫りになる。
「道州制」はあくまでスタートだ。各道州がクオリティ国家を目指せば、その大きさや特徴、位置によって、さまざまな戦略が立てられ、新たな展望が生まれてくる。お互いがより良い地域を目指して競争することにより、日本全体に新たな躍動と展望が拓けてくるはずだ。

(ニュース出所 文藝春秋 6月号)
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