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〈平成27年度 税制改正後の生前贈与の留意点〉
 
〈日本の貧困化〉

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月刊 経営一番

〜不当「買い叩き」で巨利を独占〜

・赤字納入を迫る「横暴」

・在庫リスク低減の「からくり」





編集後記
 人生の転換期に農業、地域経済再生に農業



業績31の原理

  経営一番 NO.244  2015年06月
〜不当「買い叩き」で巨利を独占〜

 スーパーやコンビニエンスストアなどを展開するセブン&アイ・ホールディングス。株主や消費者には支持されているが、リバースオークションなどにより納入業者は泣かされている。

◆赤字納入を迫る「横暴」
 「共存共栄」。セブン&アイ・ホールディングス(HD)の代表取締役会長兼最高責任者(CEO)である鈴木敏文氏は、著書の中でフランチャイズ経営における本部と加盟店の在り方についてこう述べている。しかし、実際にはセブンによる加盟店いじめが横行し、司法の場で断罪されるケースも出ている。小売り業界の実情に詳しい業界紙記者が語る。
 「セブンの優先課題は自社の利益。『自存自栄』が社是だろう」
 これは立場によって評価が分かれる。加盟店にとっては憤慨ものだろうが、セブンの株主であれば歓迎だ。現にセブン&アイHDの業績は好調だ。1月に発表された2015年2月期の第3四半期決算では、営業収益、営業利益、経常利益がそれぞれ過去最高を更新した。通期の営業収益も前年を8.8%上回る6兆1,300億円、営業利益は4.8%増の3,560億円と予想している。
 昨年4月の消費税増などどこ吹く風の好業績を上げていることは、企業として褒められるべきだ。それでもなおセブンに怨嗟の声が向けられる。前出記者が語る。
 「セブンに商品を納入している業者は『その利益はどこから生んだんだ』と言いたいだろう」
 つまり、納入業者からの仕入れ値を極限まで下げていることへの恨み節だ。これも一見するとスーパーやコンビニエンスストアを展開するセブンとして当然の企業努力に見えるが、実は条件がつく。優越的地位の濫用をしていない場合に限るのだ。主に納入側を保護するためにある「下請法」に定められている通り、不当な買い叩きがあれば違法行為である。
 「不当な」という判断がケースによって難しいが、セブンの場合はあからさまなものが多く、納入業者が泣かされている。
 黒に近いグレーのものから、真っ黒のものまであるが、最も悪質な例をまず挙げよう。流通業界担当の調査会社社員が語る。
 「セブンの、主に食品関係で目につくのが『リバースオークション(RA)』」
 RAとは「競り下げ方式」という調達方法で、価格の上がっていく通常のオークションとは反対に、売りたい側が提示価格を下げ、最安値を提示した者から購入する方法だ。官公庁などが行う競争入札に似ているが、複数の業者を競わせて徐々に引き下げていく点が異なる。問題点は後述するが、セブンの納入現場では何が起きているか。
 ある米流通業者はRAによって他社が値を下げるのに対抗して下げているうちに、赤字のラインどころか、原価をも下回ってしまったのだ。拡大の一途を辿るプライベートブランド(PB)商品の納入現場でも同様のことが起きている。
 「ナショナルブランド(NB)商品を陳列棚のいい場所に並べてもらうためにPBを赤字で納入するケースは珍しくない」
 飲料卸売業の関係者はこう語る。原価割れ、赤字価格での納入は明らかに買い叩きだ。
 近年、RAはさまざまな業界を苦しめている。主に利益をギリギリまで削られる中小企業から悲鳴が上がっているのが実情だ。ただし、それだけ多く行われていることからもわかる通り、RAは違法なものではない。買い叩きを監視する公正取引委員会は「入札をやめるのが自由なら違法とは言い難い」という立場をとっている。値下げの限界を超えた時点で、参加しなければ赤字にならないのだが、前出業界紙記者は語る。
 「納入業者は自由にやめられる立場ではない」前出の米流通業者のように、セブンとの取引継続は死活問題だ。また、NB商品を人質にとるやり方は優越的地位の濫用にほかならない。セブンが巧妙なのはここからだ。ある食品業者が語る。
 「(RAによる買い叩きが)あまりにもひどいからセブンの本部に直接クレームを言ったことがある。でも『委託先がやっていること』と取り合ってくれなかった」
 実はセブンは仕入れを外部に委託している。たとえば加工食品関係の場合、「わらべや日洋」という会社がセブンの代わりに仕入れを行う。業者を並べて、RAを行うのはわらべやであり、セブンは直接手を下していないという言い分だ。しかし、委託先が不当な買い叩きを行っていることをセブンが知らないはずもない。前述した例を見てもわかる通り、NB商品の陳列棚の確保という店舗運営についてまで仕入れ業者が判断できるのだ。共同正犯というより両者は一体なのである。

◆在庫リスク低減の「からくり」
 食品以外でも納入業者いじめは横行している。セブンと長年取引を続けているアパレル業者はこう漏らす。
 「セブン&アイと取引するのは『麻薬』に手を出すようなもの」
 やめたくてもやめられず体を蝕むという点で言い得て妙だ。セブンの過去最高益の一因に「在庫の徹底した管理」がある。小売業者のイロハであるが、実はセブンの場合、問屋メーカーに在庫のリスクを負わせているのだ。
 典型的な例は「別注品」と呼ばれる商品だ。主にアパレル関係でみられ、一般に流通している商品に一部加工を施して「イトーヨーカドー限定」と銘打って売る。PBとNBの中間にある商品だ。限定品として注文を受けているにもかかわらず、「発注はされるがすべてを仕入れるとは限らない」(前出アパレル業者)のだという。実際に仕入れるかどうかは売れ行き次第で決められるのだ。これならセブン側の在庫リスクは限りなく低減できる。
 しかもこの別注品が売れ残った場合には「専売契約」を結んでいるため、業者側はセブン以外に卸すことができない。在庫を地方で目立たないように小売店に卸すことができるケースもあるが、それもセブンとの交渉次第。基本的に在庫はゴミとなり業者の負担となる。RAより悪質性が低いが、セブンの優越的地位があるからこそできる取引だ。「消費者の意識も問題だ」前出の業界紙記者が語る。「セブン商法」は株主だけでなく消費者にも支持されている。納入業者だけが泣かされているが、NBが端に追いやられている現状を考えれば、食品に代表される日本メーカーの体力は今後いよいよ失われてしまう。「安ければなんでもいい」という考えは長い目で見て日本の消費者のためにならない。
 こうした消費者マインドを逆手にとって「自存自栄」の道を突き進んでいるのがセブンだ。
(ニュース出所 選択 3月号)

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