トップページ 会社概要 経営理念 業務内容 所員紹介 アクセスマップ セミナーご案内
月刊 花みずき

〈〜高次脳機能障害〜〉
 
〈〜従業員の育成〜〉

〈〜自転車事故の加害者責任〜〉




月刊 経営一番

〜安心・安全な国土づくりに向けた建設産業の現状と課題〜

・就業者不足をどう対処するか

・女性が活躍できる建設業に向けて

・効率的な施工と就労履歴管理システムの整備



編集後記
 BCP(事業継続計画)



業績31の原理

  経営一番 NO.248  2015年10月
〜安心・安全な国土づくりに向けた建設産業の現状と課題〜

 建設業は、過去十数年間に及ぶ建設投資の減少と人口そのものの減少に伴い、就業者不足という深刻な課題に直面している。東京オリンピック・パラリンピックの開催をひかえ、建設業界の現状と課題について話を聞いた。

◆就業者不足をどう対処するか
 過去十数年の建設投資の減少に伴い、建設業界は大変厳しい状況が続きました。建設業界の現状、課題についてお聞かせ下さい。
 北村…建設業はここ十数年、公共事業の縮小や景気の低迷に伴う民間投資の減少などにより大変厳しい状況にありました。
 建設業は受注産業ですから、建設投資が減ると産業として大変厳しいものがあります。仕事が減れば当然会社の数も減り、就業者も減ります。そうした中で東日本大震災が発生し、これ以上、地方建設業の担い手が減少すれば、いざという時に国土の守り手がいなくなってしまうのではないかという非常に大きな危機感が生まれました。そうした建設業の就業者、特に技能労働者をいかに確保していくか、これまで減少し続けてきた流れをどのように押し止めるかが大きな課題だと考えています。
 この就業者不足については、課題は大きく二つあり、一つは先述した建設投資の減少に伴う就業者の減少です。これについては、ここ数年、国の当初予算もほぼ横ばい、微増になっていますし、民間投資についてもアベノミクス効果をはじめ、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催などもあり明るい兆しが見えつつあります。今後とも建設業者の方々が先の見通しを持てるよう、安定的・持続的な公共事業予算の確保に努めていきたいと思います。
 そしてもう一つは、建設業に限らず、そもそも日本の人口自体が減少していく、若い人たちが減っていく点です。今後を考えると日本全体の若者が減っていく中で、いかに建設業の労働力を確保していくか、それこそが最大の課題だと考えています。当然、人口が減少する中で建設業だけに人を増やしていくことは不可能ですが、これまで他産業と比較しても減少の度合いがあまりに激しく、まさに一人負けともいえる状況ですので少なくとも他産業に伍して、きちんと人材獲得競争で勝負していけるような魅力ある産業に再創造することが大きな課題です。また、そうはいっても、やはり建設業で働く人の数は減少していかざるを得ないでしょうから、併せて生産性向上の取り組みが必要だと考えています。

◆女性が活躍できる建設業に向けて
 「建設業における女性の活躍」についてはいかがでしょうか。
 北村…建設業就業者数の減少が大きな問題である点については既にお話しましたが、こうした状況において女性の力を借りていかなければ、必要な労働力を維持していくことは困難です。
 昨年の統計によると建設業界で働いている女性の方はちょうど10万人。そのうち1万人がゼネコンで工事の監督などを行っている技術者、そして9万人が技能労働者、いわゆる職人の方です。昨年8月、建設業に従事する女性を「5年で倍」にする目標をたて、国交省と建設業団体の共同で行動計画を定めました。この「5年で倍」という目標は、正直積み上げた根拠はありませんが、逆に言えば、それ位の割合で増やす必要があるのです。
 現在55歳以上の高齢者が3分の1を占めている建設業界ですから、あと10年、15年でそれだけの数の就業者が減ってしまいます。それを補填するためには90万人の若い方に入ってもらわなければならず、そのうち20万人くらいは女性に入っていただかなければ全体の数、必要となる労働力を維持することができなくなると試算されています。
 そのため女性が活躍できる建設業に向けて、さまざまな取り組みを行っています。例えば、国の直轄工事で女性が活躍しやすくなるモデル事業をつくったり、女性に関するいろいろな情報を得られる「女性応援ポータルサイト」を開設したりしています。

◆効率的な施工と就労履歴管理システムの整備
 就業者減少に対応するための「生産性の向上」に向けた取り組みについてお聞かせください。
 北村…先ほどもお話しましたが、高齢化が進む建設業界において、近い将来その高齢者の方がリタイアしてしまう前に、女性を含め、若い人になるべく多く参入していただかなければいけません。しかし、日本の人口そのものが減少していく中で建設業だけ特別多くの人が参入してくれることはありませんので、そうするとどうしても生産性を向上させ、これまで10人でやっていた仕事を8人で作業するようなことが必要になってきます。
 このため、建設業に女性や若者を呼び込んでくる担い手対策と、もう一方で生産性の向上という二大柱で施策の展開を行っています。生産性の向上については、技術的なものとしては、コンクリート部材を工場で作成し、それを現場で組み立てる「プレキャスト工法」や、コンピュータの3D情報を活用して設計から施工まで行うBIMやCIMといった方法などを進めています。
 また建設産業の特徴ともいえますが、例えば、ビル一つを建てるにしても設計者に施行者、元請け企業に複数の下請け企業など、実に多くの人が携わっています。そうした人たちの「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし、効率的に事業が進められるような仕組みづくりをしていきたいと思っています。
 さらに、技能労働者の適正な評価と処遇を行い、技能や経験に応じた効率的な人材配置を実現するため、就労履歴管理システムを早急に整備したいと考えております。
 建設業界の今後の方向性についてお話しください。
 北村…今後、人口が減少していくなかで、建設業が魅力ある産業になり、そこで働く方々が誇りをもって働いていける産業になってほしいと思います。
 そのためには、社会保険未加入の問題など、産業として問題がある点についてはしっかりと改善していただく必要があります。一方で生産性の向上を図り、50年、100年が経過しても、日本の建設業者に任せたら、何の問題もなく工事が完成する、公共施設もきちんと維持される、そしていざ災害が起こった時には地域でそうした力が結集され、国民の安心・安全が守られる、ある意味で当たり前のことが当たり前であり続けて欲しいと思います。
(ニュース出所 時評8月号)


   次へ

Copyright (C) 2003 安蒜俊雄事務所 All Right Reserved.