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月刊 花みずき

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月刊 経営一番

〜「ふるさと納税」にカラクリあり〜

◆贅沢を満喫する“プロ寄付者”

◆マスコミも野党も大衆迎合で

◆税金の使い道を勝手に決める



編集後記
〜リーダーシップ(藤原塾 No.172より)〜



業績31の原理

  経営一番 NO.250  2015年12月
〜「ふるさと納税」にカラクリあり〜

 自分を育ててくれたふるさとに大都市で払う税金の一部を還元するという発想のもと創設された「ふるさと納税」制度は、特産品目当てと省益のためのツールになってしまった。

◆贅沢を満喫する“プロ寄付者”
 ふるさとや自分が応援したい地方自治体に寄付すると税金が軽減される「ふるさと納税」制度が過熱し、とんでもない方向にいっている。
 寄付を受けた自治体は寄付者に謝礼品を贈っていたが、いつの間にか高額商品や商品券などの謝礼品で寄付者を募る競争に変質している。北海道・上士幌町は20万円の寄付に子羊1頭を謝礼品として出し、ネットなどで評判を呼んだ。それもあって14年度の寄付額は、町の個人住民税収の約4倍の10億円弱に膨らんだ。
 ムック『ふるさと納税』も出版され、人気のジャンルなどを紹介している。なかには、好みの特産品を謝礼品として贈っている自治体に軒並み寄付して、贅沢な食生活を満喫する“プロ寄付生活者”が出てきた。
 「ふるさと納税」制度は、自分の好きな自治体を選んで寄付した場合、寄付額から2,000円を差し引いた額の住民税や所得税が控除(減額)される制度で08年に導入された。控除される額には、収入や家族構成などによって上限が決まっている。
 07年5月、菅義偉総務相(当時、現官房長官)が創設。その後も菅氏は昨年4月、訪問先の兵庫県養父市で、ふるさと納税制度の活用を促すため、現在住民税の約10%を目安としている税額控除の上限を「たとえば20%にすることを検討すべきだ」と語った。実際、今年4月から引き上げられた。その上、確定申告も不要になり、使いやすくなった。
 さらにさる6月下旬、出身地の秋田県入りし、秋田市内で開かれた自民党県連大会で講演、「企業版のふるさと納税があってもいいのではないか。(中略)地方創生のため、法人税を工夫し、自治体に民間資金を投入する可能性を財務省と、総務省、内閣府に勉強するように指示している」とブッた。
 さる6月下旬、総務省、財務省、内閣官房、まち・ひと・しごと創生本部は、企業版ふるさと納税の導入に向けて初会合を開いた。菅官房長官からの指示を受け、16年度からの実施を目指すという。個人対象のふるさと納税と違い、企業には株主がいるため、個人と同じように好きな自治体に寄付するのが難しいケースが考えられる。

◆マスコミも野党も大衆迎合で
 元自治官僚で鳥取県知事を2期務め、民主党の管直人政権時代、総務相を歴任した片山善博慶応大学教授が語る。
 「ふるさと納税ができ上がってみると、誰がどこに寄付しても、税金が安くなる仕組みになってしまった。たとえば誰かが3万円、どこかの自治体に寄付すると1万円の特産品を見返りに贈るところが出てきた。そうすると、その人は1万円の特産品をもらい税金は3万円から2,000円を引いた2万8,000円が軽減されるので、結局2,000円で1万円の品が買える仕組みだ。ふるさと納税が、特産品を安く入手するツールになった。
 何故そんなことができるかというと、それで税が減った自治体に国が地方交付税で補てんするからだ。」
 国から地方への“仕送り”ともいうべき地方交付税交付金を受け取っている自治体では、地方交付税法によって税収が減ると国が交付金で補てんする仕組みになっているのだ。
 「そもそも地方税は、自分の住んでいる住所地で、地元の自治体の行政サービスを受けるためにある。福祉サービス、学校、道路などの利用で恩恵を受けている。自分の住所地に関係なく、特産品をくれるところに3万円寄付したら、自分の住んでいる自治体に納める税金が2万8,000円安くなる。その分、住所地の税収が減るから国が補てんするというのでは、地方自治の原理をまったく壊してしまっている」(前出、片山氏)
 だが、新聞などマスコミで正面切ってふるさと納税制度の問題を衝くところはほとんどない。
 読売新聞は7月下旬、「ふるさと納税、謝礼困った」との見出しで、謝礼品として寄付者に贈っていた商品券や高額商品を中止する自治体が相次いでいると報じた。だが、ふるさと納税制度が成り立っている基本的な枠組みの矛盾については一言も言及していなかった。7月下旬からスタートした日本経済新聞の連載企画「税金考」でも、「過熱ふるさと納税」の回で、自治体の税収が減ると国からの交付金で補てんする仕組みになっていることを指摘しておきながら、見出しにすることはなかった。
 全国紙政治部記者が語る。
 「マスコミは総じて『この制度はいい制度だ、もっとみんな利用しましょう』という論調になっている。民主党もふるさと納税には反対していなかった」しかしその裏で税収がどんどん減っている。社会保障の財源がないといって騒ぎ、17年4月から消費税を2%上げて、10%にするといっているのに、特産品を安く買うために税金を使っているのは、国の財政政策としてはあまりにもお粗末だ。

◆税金の使い道を勝手に決める
 ふるさと納税という発想は、当初必ずしも悪いとはいえなかった。自分を育ててくれたふるさとに大都市で払う税金の一部を還元したいという気持ちはむしろ自然だ。だが、でき上がった制度は、そういう気持ちとは関係ない、まったくかけ離れたものになってしまった。
 それでも菅氏がここまでふるさと納税、さらにその企業版に執着するのは、菅氏の戦略があるといわれる。
 「菅氏には総務相の経験があるが、ふるさと納税で総務省(旧自治省)の地方自治体に対するグリップをより強力にしていこうとしている。それがアベノミクスの成長戦略でもある地方創生政策をうまく運営していくことに繋がるからだ。
 ふるさと納税には、もう一つの問題がある。自分の好きな自治体に寄付して税金の控除を受けるということは、国民が税金の使い道を自分で決める方向に進んでいきかねず、財務官僚がもっとも嫌うところだ」(前出、全国紙政治部記者)
 たしかに、財務省などはいまだにふるさと納税に反対しており、潰すチャンスを狙っているといわれる。しかし、内閣人事局に各省庁の人事権を牛耳られ、ヘタに反発すると官邸に睨まれ、自分の首が危なくなるから黙っている。
 矛盾だらけのふるさと納税が正される日はやってくるのか。
(ニュース出所 月刊テーミス9月号)


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