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月刊 経営一番

〜失敗の研究〜

巨大組織が崩れるとき







編集後記
〜シャッター通りへの出店、地域貢献。成熟市場へ切り込む〜



業績31の原理


 

  

 
〜シャッター通りへの出店、地域貢献。成熟市場へ切り込む〜

 カレーの褐エ価率研究所。2年後に50店舗、数年後には株式公開をめざしているという。
 2年前にオープンした本店(1号店)は新潟駅から歩いて5分の居抜きの2階建て。店舗面積は10坪(約33u)ほどで、1階が2坪のキッチン、2階が8席の飲食スペース。カレー販売数は年間70万食。売上高1億4千万円だ。カレーの原価率は25〜30%(推定)。ごはん300cとルウ300cで食べごたえのある量目ながら、価格は税込み200円。テークアウト率が80%。顧客は複数固まとめて購入する。
 同社は余分なサービスがないノンフリルな経営に特徴がある。象徴的なのは、店内が「3無しの状態」になっていること。水なし、ティッシュなし、エアコンなし。ただし、飲み物の自動販売機があり、100円だ。温泉卵などトッピングの持ち込み自由である。居抜き出店のため賃料はきわめて安い。月2万円という物件もある。シャッター通りへの出店が多く、「地域貢献により新潟県知事」から表彰されている。社長の菅野優希氏は36歳のベンチャー企業家。震災を体験した菅野氏は「社会のインフラになれる飲食ビジネスを始めたい」と考えた。カレーに着目したのは、新潟県人がカレーをよく食べることをデータで知ったからだ。確かに、家計調査によると、新潟市はカレールウへの支出が全国で2番目に多い。「その割にカレーの専門店が少ないので、安く売るビジネスを思いついた」(菅野社長)
 ルウは大手食品メーカーと共同開発することに(ルウに刻んだタマネギが練りこんである)なる。きっかけは、2号店で年間30万食分を販売する規模になったことだった。スーパー数店分の大量ルウを発注する飲食店があることに気付いた営業マンが原価率研究所に共同開発を申し出た。「カレーの味は、10点満点で5点。おいしすぎず、ただし、まずくはならないよう、レシピをメーカーの開発者と共同で作った」(菅野社長)という。
<店効率化、常連づくり工夫>
 今回は200円カレーの原価率研究所が競争の非常に激しいカレー市場で成功できている要因を整理してみよう。一般的な格安外食店にも、この考え方は応用できるかもしれない。カレーライスは自分で作れ、コンビニや持ち帰り弁当店でも買え、ファミレスやファストフード店に行けば座って食べられる。だから、この“超”成熟市場で、味や具材やサービスで差別化することはもはや不可能なように見える。原価率研究所がカレー市場に乗り込んでくるまでは確かにそうだった。超低価格販売(200円カレー)という切り口で参入を考えた経営者がいなかったからである。成功のポイントは1杯200円を実現するための、徹底したコストカットとオペレーション上の工夫である。順番に整理してみましょう。
◇テークアウトの客はもちろん、イートインの客もすべてプラスチック容器で食事をしてもらう。使い捨て容器のため水道代はほぼゼロになり、皿洗いの時間と作業スペースが大幅に圧縮できる。キッチンは2坪(6.6u)だ。
◇食材も合理化が徹底している。大手食品メーカーと共同開発したルウには細かく刻んだタマネギが練りこんである。鶏肉(1人前4切れ)と一緒に大なべに放り込むだけ。10分で50人分のカレーができあがる。
◇立地の選択にも工夫がみられる。シャッター通りにある居抜きの店舗ならば、賃料は通常の3分の1から5分の1程度。しかも、主たる顧客は、複数個テークアウトする目的買いなので、商圏は意外と広く取ることができる。顧客の回転率が高いのも、リピート率と商圏が広いからである。
◇税込み200円の価格付けとオペレーションは密接に関係している。釣銭が不要なのだ。自動販売機の飲み物の値段も100円だ。単純な作業だから、誰でも店に立ち、すぐに作業を始めることができる。さらに工夫が凝らされているのが大中小3種類のクーポン券の発行である。大は28枚つづりで4千円(8枚お得)。1回の最大使用枚数は5枚で、有効期間は1か月。再来店を促す手段としての微妙な枚数設定などよく考えられたスキームである。
◇味は「10点満点の5点でよい」と菅野優希社長は話す。日常食を特別においしく作る必要はないからである。ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高の神田正会長は「多くの人に繰り返して来てもらうには、こだわりの味を追求しないこと。食べた人の6割においしいと言ってもらえる味にしようと考えた」と同様のことを述べている。「200円カレー」は、どこから顧客を奪っているのだろうか?コンビニやファストフードの顧客ではない。「食品スーパー=内食」である。ルウの家庭消費量の多さとテークアウトの比率の高さがヒント。主婦らしき女性がカウンターに並んでいる姿が目立った。
                           ≪決算診断士−世間の学校−より≫

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